セッション情報 シンポジウム9

疾患モデル動物を用いた消化器病研究の最前線

タイトル

S9-10 大腸腫瘍を増大させるレプチンシグナル:動物モデルを用いた検討

演者 日暮琢磨(横浜市立大学付属病院消化器内科)
共同演者 遠藤宏樹(横浜市立大学付属病院消化器内科), 中島淳(横浜市立大学付属病院消化器内科)
抄録 【目的】近年高脂肪食・過栄養やそれに伴う肥満状態が大腸発癌を促進するといった疫学や動物研究が数多く報告されているがどの因子がどのように関与するかはまだ不明な点が多い、我々は内臓脂肪から分泌されるアディポサイトカインであるアディポネクチンやレプチンに注目しアディポネクチン欠損レプチン欠損(ob/ob)レプチン受容体欠損(db/db)マウスを用いてt化学発癌モデルを作成しアディポネクチンは腫蕩の発生に抑制的にレプチンは腫蕩の増大に関連があることを報告してきた(Fujisawa et al. Gut 2008/Endo et aL Gut 2011).しかし全身性の液性因子欠損/受容体欠損モデルでは類似作用を有する液性因子が代償を行うため腸管局所での分子機序の解析には限界があった.今回我々は腸管特異的にレプチンレセプターをノックアウトしたマウスを用いて全身における転炉因子を排除し化学発癌実験を行い大腸腫瘍に対するレプチンの影響を検討した.【方法】レプチンレセプター腸管コンディショナルノックアウト(KO)マウスと対照マウスを用いて化学発癌モデルを作成し高脂肪食を負荷し大腸腫瘍数・大きさ前癌病変であるACF数上皮の増殖・生存について検討した.【結果】レプチンシグナルの伝わらないKOマウスと対照マウスは血清レプチンを含め肥満関連血液検査データは有意差を認めず忙忙高値を示し体重:差もみられなかったがKOマウスは対照マウスと比較して大腸腫瘍の大きさが小さい傾向があった.腫瘍部の細胞増殖はKOマウスでは充幽しておらずtウエスタンブuットで蛋白の発現をみるとレプチンとその下流にあるSTAT3のリン酸化が贈進していなかった.【結論】大腸腫癌増殖にはレプチンが必要であることを我々は動物モデルを用いて証明した.肥満・生活習慣病などでは様々な代謝因子が複雑に交絡するためどの因子がcarcinogeneSisに関与するかを解明するためには今回のようなcre-fiox systemを用いた動物モデルによる解析が非常に有効である.
索引用語