セッション情報 パネルディスカッション1

薬剤性消化管障害(NSAIDs抗癌剤ビスホスホネートPPI抗菌薬他)

タイトル

PD1-2 薬剤性消化管障害上部消化管出血予防の観点からみたPPI治療の意義

演者
共同演者
抄録 【目的】NSAMs.アスピリンを含む抗血小板剤(以下リスク薬)が多用される高齢化社会では、消化管粘膜障害特に生命を脅かす上部消化管出血(UG]B)は大きな社会的問題になっている.しかしながら欧米に比べPPIが使われることの少なかった我が国では.実地診療の場でPPIによる予防の意義を検討した報告は少ない1【方法】広島県北部の医療圏として閉鎖された高齢化の進んだ(人口16065人高齢化率42%)地域内唯一の病院で過去12年間(1997年一2008年〉の上部消化管内視鏡のべ9720件中UGIB253例について各種薬剤(胃薬(PPL H2プロッカー粘膜防御剤)NSA]⊃sアスピリン抗血小板剤).の使用状況(処方率)発生推移を検討した.さらに人口10万人あたりの年間UGIB発生数と各種胃薬処方率の関連性を検討した.【結果】主な原因は消化性潰瘍174例(69%)=逆流性食道炎38例(15%)であった.118例(47%)でNSA工Ds93例(37%)でアスピリンを含む抗血小板剤さらに164例(65%)でいずれかのリスク薬の使用を認めた.病院全体での使用薬剤の検討では.PPIの処方率は有意1に増加した(1997年(4.6%)→2008年(308%)Pく0.05).一方粘膜防御剤は有意に減少した(1997年(192%)→2008年(6.2%)P<005)10万人あたりのUGIBは1997年に160.8人であったがピロリ菌除菌保険適応後の2001年に812人と有意に減少した(P<O.05)しかしながら2003年以降リスク薬の有意な使用増加に伴い再度増加した.2006年以降病院をあげてリスク群を中心にPPIによる予防啓蒙活動を行い有意に減少した(2008年23.6人P〈0.05).期間中5例のUGIB関連死亡を認めたが2006年以降は認めなかった.UGIBとPPI処方率は逆相関の関係であった(r= 一〇804PくO.01)、【結論】高齢化社会においてNSAIDsアスピリンを含む抗血小板剤はUGIBの大きな要因になっていた.PPIによる予防投与はUGIB及び関連死亡を抑制した.
索引用語