セッション情報 パネルディスカッション1

薬剤性消化管障害(NSAIDs抗癌剤ビスホスホネートPPI抗菌薬他)

タイトル

PD1-4 H. Pylori感染が低用量アスピリン胃粘膜傷害に及ぼす影響―胃酸分泌のレベルによる2相性の影響―

演者 飯島克則(東北大学消化器内科)
共同演者 荒誠之(東北大学消化器内科), 下瀬川徹(東北大学消化器内科)
抄録 低用量アスピリン(LDA)による胃粘膜傷害とH. pytori(HP)感染との相互作周に関しては一定の見解が得られていないこの原因の一つとしてHP感染が胃酸分泌に対して種々の影響を及ぼすことによって、LDAによる胃粘膜傷害が修飾されていることが考えられる.今回tHP陽性者を胃酸分泌のレベルによって2群にわけ各々とHP陰性者でのLDA胃粘膜傷害との比較を行った.【方法12007年4月~2011年9月に.東北大学病院消化器内科にて内視鏡検査を受けたLDA長期内服者89人(男性78人平均年齢70歳)を対象とした.胃酸分泌抑制劃NSAID服用者は除外した.内視鏡検査を行い胃粘膜傷害の程度をLANZAスコアで評価しスコア4以ヒを胃粘膜傷害ありとした胃酸分泌能はendoscOpicgastrin test(EGT):によって評価し我々の過去の検討か1ら健常者のEGT値は3.6±1.5mEq/10m三nであり今回mean-l SDニ2.1をカットオフとして低酸分泌者と非低酸分泌者としたHPの感染は血清抗体法を用いて評価した【結果】HP陰性者36人陽性者53人のEGT値は3、7±2.6 vs↓4±1.9で珊陽性者では有意に胃酸分泌は低下していた(P<α01).HP陽性者53人のうち低酸分泌者が40人であり大部分の症例で胃酸分泌は低下していた.性別年齢喫煙で調整したロジスティック回帰分析を用いてHP感染のアスピリン胃粘膜傷害に対する相対危険度を算出するとHP陰性者を1.0とした場合HP陽性酸分泌低下者ではα3(O.08-O.9)非酸分泌低下者では5.1(1.1-e3.O)あり胃酸分泌のレベルにより全く逆の関連がみられた.また胃鞍膜傷害の発生部位に関しても胃酸分泌低下者では胃体部優位非酸分泌低下者では前庭部優位と違いがみられた.【結論】LDA惹起性胃粘膜傷害に対するHP感染の影響に関しては2相性の関係がみられHP感染によって胃酸分泌が低下した症例で1はHPはLDA胃粘膜傷害に対して保護的に作用するが胃酸分泌が低下しない症例ではHPは胃粘膜傷害に対して増悪作用を示す.
索引用語