セッション情報 |
パネルディスカッション1
薬剤性消化管障害(NSAIDs抗癌剤ビスホスホネートPPI抗菌薬他)
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タイトル |
PD1-5 胃十二指腸潰瘍出血症例における抗血小板療法のリスク
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演者 |
笹井貴子(獨協医科大学消化器内科) |
共同演者 |
菅家一成(獨協医科大学消化器内科), 平石秀幸(獨協医科大学消化器内科) |
抄録 |
【目的】低用量アスピリン(low-dose aspirin:LDA)は脳血管障害・虚血性心疾患の二次予防を中心にエビデンスが確立された薬剤であり各種診療ガイドラインで投与が推奨されており単独あるいは他の抗血小板薬抗凝固薬などと副腎され使用される機会も多い.硝化管粘膜傷害はLDAの重篤な副作用であり高齢者人口の急速な増加によってLDA投与例における消化管出血の増加・重症化が危惧される.今回我々は抗血小板療法(anti-platelet therapy=APT)1継続中に発症した消化性潰癌出血症例に対し臨床的背景を検討した.【対象】IO年間に上部消化管出血を主訴に入院し内視鏡検査で胃・十二指腸潰蕩と診断された807例のうちAPT継続中であった207例を対象とした胃潰瘍152例十二指腸潰瘍55例平均年齢70.1歳であった.【結果】消化性潰瘍出血症例807例のうち207例.(25.7%)がAPT継続中に発症し150例(18.5%)がLDA投与例であった.全例に基礎疾患を認め心疾患脳血管障害糖尿病の順に多く63例(30.4%)に消化性潰蕩の既往を有した.52.7%は高リスク薬剤(抗血小板薬ワルファリンなど)を多剤併用されていた潰瘍出血全体の内視鏡止血後の再出血率は7.2%でありAPT症例では11.6%に増加した.LDA投与例では多剤併用例で123%に増加特にWF併用群で19.0%と有意に増加したうち4例(19%)で内科的止血が得られずT外科切除を要した症例が2例(1.0%)出血死症例が2例(1.0%)存在した.一方APT巾止による血管系イベント発症率は5.3%(818%がLDA投与例63.6%が多剤併用例)で発症までの平均日数は72日であった.さらに全体の約40%が抗潰癌薬を併用していなかった【結論】APTの継続には特に消化性潰瘍の既往を持つ例1や多剤併用例などリスクが高い症例において消化管出血の危険性を常に念頭に置き診療にあたる必要がある.さらに出血合併時のAPT休薬はイベント再発のリスクを常に念頭.に置き可能な限り速やかに投与を再開する事が望ましいと考える. |
索引用語 |
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