セッション情報 パネルディスカッション1

薬剤性消化管障害(NSAIDs抗癌剤ビスホスホネートPPI抗菌薬他)

タイトル

PD1-6 長期低用量アスピリン服用者における出血性消化管病変の検討

演者 三宅一昌(日本医科大学消化器内科)
共同演者 藤森俊二(日本医科大学消化器内科), 坂本長逸(日本医科大学消化器内科)
抄録 1目的1抗血小板薬による心血管系イベント予防の有効性が広く認識され汎用化が進むとともに低用量アスピリン(レASA)による消化管出血が聞題化している.L-ASAによる消化性潰瘍(PU)出血率は年間1~2%程度であるがPUだけでなく小腸や大腸を含む全消化管が出血源となり得るそこで今回長期L-ASA患者において消化管出血を疑う症状(出血関連症状)の精査のため内視鏡検査を行い発見し得た消化管病変について検討した【方法】対象は心臓カテーテル検査を行い長期L-ASA内服を必要としたIHD患者であるCAG後3年間に施行した上部・下部内視鏡検査および診療録から情報を収集した.出血関連症状は吐下血または原因不明のHb低下(1.5g/’dl.〈)としt上部・下部内視鏡検査にて確認し得た病変を解析した.【成績】対象は538例平均年齢674±10.6歳男性74.4%でt16%に三枝病変を認めた。出血関連症状の精査のため上部内視鏡を行った62人のうち25β%(16人)にPU進行胃癌48%(3人)早期胃癌3.2%(2人)逆流性食道炎3.2%(2人)およびAGML1.6%(1人)を認めた.さらに下部内視鏡を行った29人では13.8%(4人)に進行大腸癌出血性直腸潰瘍10.3%(3人)t痔核6.9%(2人)憩室6.9%%(2人)虚血性腸炎69%%(2人)および潰瘍性大腸炎6.9%(2人)を認めたさらに終末回腸まで観察し得た20人のうち2人(10%)に終末回腸の潰瘍を認め1例はバウヒン弁にも潰瘍がみられた。今回確認し得た出血性上部消化管病変の年間発症率は約1.5%出血性下部消化管病変の年間発症率は約1.0%であった.【結論】出血関連症状を有するL-ASA長期服用者では多様な病変が潜んでいる可能性が高くとくに早期・進行胃癌および進行大腸癌の発見の契機になり得ると考えられた.できるだけ全消化管を網羅した内視鏡検査が望まれるが下部内視鏡では終末回腸を含む全結腸の観察が必要と思われた.
索引用語