セッション情報 パネルディスカッション1

薬剤性消化管障害(NSAIDs抗癌剤ビスホスホネートPPI抗菌薬他)

タイトル

PD1-10 抗癌剤による消化管粘膜障害と血清DAO活性によるその評価

演者 三好人正(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部消化器内科学)
共同演者 宮本弘志(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部消化器内科学), 高山哲治(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部消化器内科学)
抄録 【目的】抗癌剤による消化管粘膜障害は癌患者の栄養障害やQOLの低下をもたらし化学療法の大きな障害となっているしかし抗癌剤に伴う消化管粘膜障害を客観的に評価する方法は無くその予測も困難である.一方DlamineOXidase(DAO)活性は主に小腸粘膜の絨毛上皮細胞に分布する酵素であり腸管障害によって血中DAO活性が低下するため小腸粘膜の変化を鋭敏に反映する指標として注目されている.そこで本研究では抗蛎剤投与中の患者を対象に血清DAO活性を測定し消化管毒性の指標となりうるかどうかを検討した.【方法】切除不能進行胃癌のうち初回治療としてDocetaxe]+CDDP+S-1の3剤併用化学療法(Takayama et a1βri J Cancer2008)を施行した16症例を対象とした.血清DAO活性の測定は抗癌剤投与前投与中及び隠子期漕網にTakagiらの方法に基づき好感度比色法(Clin ChimActa1993)により行った.消化管毒性(食欲不振悪心・嘔吐.下痢口内炎など)はNCIrCTC V3.0により評価した.1結果】全16例中Grade2以上の食欲不振悪心・嘔吐下痢口内炎はそれぞれ7例4例4例2例であり消化管毒性(Grade2以上)有症状群:無症状群=12:4であった.有症状群における血清DAO活性は抗癌剤投与前4.7±2.4U/L投与中(day9)3.5±1.5U/L雑事後(day21)3.6±1.3U/しであり抗癌剤投与後に有意に低下し(p = OLOO6)休薬後に回復した.治療申(day9)の96DAO減少率(投与前を基準とする)は有症状群で25.5%と有意に減少しており(p;O.CO6)無症状群では有意な変化を認めなかった.抗癌剤による消化管毒性は主に投与後9日以後に出現し血清DAO活性の低下は症状出現より早期に認めた.【結謝血清DAO活性は抗癌剤による消化管毒性を早期に定量的に表現するとともに消化管障害の予測マーカーとしても有用であることが示唆された.
索引用語