セッション情報 パネルディスカッション2

生物学的製剤時代におけるIBDに対する治療戦略

タイトル

PD2-5 Crohn病に対するazathioprine治療の効果と副作用の検討―生物学的製剤治療との位置づけ―

演者 杉田昭(横浜市民病院外科)
共同演者 小金井一隆(横浜市民病院外科), 辰巳健志(横浜市民病院外科)
抄録 【目的】Crohn病に対する免疫調節薬は腸管痩難治例に有効とされているが現在は生物学的治療製剤が使用される頻度が増加している。今回は腸切除例を含めた腸管痩やステロイド抵抗離脱困難な痩孔を伴わない活動性病変(以下難治)に対するazathioprineの効果と副作用を分析し生物学的治療製剤と本剤の位置づけを検討した.【対象と方法】Azathioprineを投与したCrohn病66例(腸切除後症例52例)の内訳は腸管痩36例(腸管皮膚痩29例腸管腸管Pt 1例腸管膀胱Pt 1例)と難治30例であった.投与量は2mg/kgが14例1mg/kgが52例で後期は1m虹kg投与を原則とした.全例に5アミノサリチル酸製剤3000mg/日を併用した.治療効果の判定は腸管痩では痩孔の閉鎖または縮小難治例では臨床症状CRPの改善ステロイドから離脱ができた症例を有効とした.【結果】1)効果:腸管皮膚痩の有効率は41%腸管腸管痩膀では改善がなく難治では56%で有効であった.2)副作用:白血球減少(3000mm3未満)を8例(12%)にみとめ5例にGCSFの投与を行なった.発症時期(中央値)は6週(4-19週過であった.【結語】Crohn病に合併する腸管皮膚痩や難治性活動性病変に対してazathioprineは約50%の症例で有効であり白血球減少を防止するため通常1mg/kg投与で開始して1ヶ月間は1回/週で血液検査を行うことが安全と考えられた.本剤は価格も安く初期の副作用の発生に留意すれば一定の有効率を保ちながら安全に使用できることから腸管切除後の腸管皮膚痩や難治例に対して第一選択として考慮される治療法と考えられた.
索引用語