セッション情報 パネルディスカッション2

生物学的製剤時代におけるIBDに対する治療戦略

タイトル

PD2-8 日本人クローン病患者に対するアダリムマブ長期継続投与による3年間の寛解維持効果

演者
共同演者
抄録 【目的】アダリムマブ(ADA)は日本人クローン病(CD)患者に対する多施設二重盲検ブラセボ対照試験により寛解導入及び1年間の寛解維持効果が確認され2010年にCDの適応が承認された.この臨床試験を承認申請後も継続しADA長期継続投与による寛解維持効果及び忍容性を検討した.80mg隔週投与への増量及び自己投与の有効性安全性についても検討した.【方法】ADAの維持療法試験に参加した日本人CD患者を対象にADA 40 mg又は80 mgを隔週皮下投与した.可能な患者では自己投与を行った.【結果1試験終了まで投与を継続した患者での投与期間はt維持療法開始後148~188週間であった.ADAを投与された患者79例における寛解率は3年にわたって30%以上を維持した.1年後の時点で寛解であった患者における寛解率は2年後で88%3年後で77%であった.最も高頻度に発現した有害事象は鼻咽頭炎であったが重篤なものではなかった.重篤な有害事象の半数以上は原疾患の悪化でありイレウスT腹部膿瘍腹膜炎など原疾患に関連した事象が多かった結核悪性腫瘍うっ血性心不全脱髄疾患、死亡は認められなかった(増量>ADA 40 mg隔週投与での維持療法中に症状の再燃又は効果不十分のためにADA 80 mg隔週投与に増量した患者40例では増量後に25%が寛解55%がCR-70(投与開始時からのCDAI減少が70以上)に達した.増量後に肝関連事象の頻度が増加したが胆管結石の1例を除き重篤なものではなかった(自己投与)自己投与を行った患者19例において自己投与後も有効性及び安全性に大きな変化はなく自己投与に起因する有害事象も認められなかった.【結論】ADAの3年にわたる寛解維持効果及び忍容性が確認されたまたADA80mg隔週投与への増量が有効かつ安全であること自己投与による投与でも有効性は損なわれず安全に治療を継続できることが確認された.
索引用語