抄録 |
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は非飲酒者において肝臓への脂肪沈着を背景病態として肝組織に壊死炎症線維化などを生じる慢性の肝疾患である特に非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は肝硬変や肝癌に進展する可能性を有するため良性の疾患とは言えず重要な慢性肝疾患の一つと認識されるようになってきたNAFLD/NASHは肥満や糖尿病を基礎病態として発症すると考えられており肥満や糖尿病人口の増加に伴ってNAFLD/NASH:患者数の増加も想定されている.日本を含めた先進諸国のみならず発展途上国においても肥満人口画影ボリック症候群患者の増加とさらには小児においても肥満人口の増加が今世紀の重要な健康問題の一つとして取り上げられておりそれに伴うNAFLD/NASH患者数の増加も懸念されている.本ガイドラインではこのような疫学的観点からNAFLD/NASHの有病率およびその経年的な変化、年齢分布性差などについてクリニカルクエスチョン(CQ)を作成し海外および本邦における疫学的な解説を行うことを目的としている.疫学に関する本ミニレビューにおいては近年における海外および本邦におけるNAFLD/NASHの有病率年齢分布性差さらに小児におけるNAFLD/NASHの有病率などについてその概略を述べることとする.また疫学に関するNAFLD/NASH発症における具体的な問題点についてCQに基づく文献調査結果報告に関する「疫学の概略」を行い本邦におけるNAFLD/NASHの疫学的現状を海外のデーターと比較検討することで本邦におけるNAFLD/NASHの問題点についても言及しNAFLD/NASHの診療に有用なガイドライン作成を目的とする. |