セッション情報 パネルディスカッション3

日本消化器病学会診療ガイドライン(NASH・NAFLD)を目指して

タイトル

PD3-6 病態minireview

演者 竹原徹郎(大阪大学消化器内科学)
共同演者 鎌田佳宏(大阪大学消化器内科学), 宮城琢也(大阪大学消化器内科学)
抄録 NAFLD/NASHの病態に関して精力的に研究が行われ重要な報告があいついでいる.診療ガイドラインにおける「病態」の項目作成にむけ病態.に関する報告をreviewしたい. NAFLDは臨床的には肥満糖尿病高インスリン血症を伴っていることが多く.メタボリック症候群の肝臓における表現型とも考えられている.脂質異常症を俳うことで動脈硬化による高血圧や冠動脈疾患さらに慢性腎臓病を合併することが報告されているまた肥満を伴うことで睡眠時無呼吸症候群といった呼吸器疾患との関連についても報告があるさらに一部は薬剤によるものや外科手術後.に続発するものもある.性差や人種差が認められ.小児期に特有の特徴もあるとされている.NAFLDは病理学的には肝細胞への中性脂肪の蓄積が特徴である過食や運動不足といった過栄養状態になると体内への脂肪蓄積が生じる.体内への脂肪蓄積により脂肪組織が増大するとでアディポサイトカインの分泌異常やインスリン抵抗性が引き起こされる.脂肪組織からは過剰な脂肪酸が放出され肝細胞へ理性脂肪として蓄積されていく.NASHは肝細胞への中性脂肪の蓄積にさらに肝細胞障害の要因になる複数の因子が加わることで発症するとの説が支持されている.肝細胞へ過剰.に蓄積された脂肪酸は脂肪毒性により小胞体ストレスやミトコンドリア異常の原因になる.ミトコンドリア異常はROSの産生過剰を介して酸化ストレスの増大につながる.過剰産生されたROSは肝星細胞を刺激することで肝線維化へつながりDNA傷害により肝発がんへとつながると考えられている.またNASHの免疫学的な特徴に関する報告もなされてきている.このような報告をもとに.診療ガイドライン作成へむけClinical Questionの設定とその関連キーワードの選択検索式の作成が現在進行中である.
索引用語