セッション情報 パネルディスカッション3

日本消化器病学会診療ガイドライン(NASH・NAFLD)を目指して

タイトル

PD3-7 NAFLD・NASHの病因と病態:ClinicalQuestionsとその解説

演者 池嶋健一(順天堂大学消化器内科)
共同演者 今一義(順天堂大学消化器内科), 渡辺純夫(順天堂大学消化器内科)
抄録 NASHの概念はアルコール過剰摂取以外の原因に基づく脂肪性肝炎を包目的に捉えることから派生しているためその病因は多岐に渡る.しかし現在では肥満やメタボリックシンド寒心ムを基盤とした脂肪肝ないし脂肪性肝炎を一次性のNAFLD・NASHとしてそれ以外の原因(薬物性手術後異栄養代謝性疾患など)による二次性NAFLD・NASHとは区別して扱われる. NAFLD・NASHの遺伝的素因としては代謝調節に重要なアドレナリンβ3受容体の単一塩基多型(SNP)などに加えて最近のGWAS解析からPNPLA3などの疾患感受性遺伝子が同定されその機能的関与の検討が進められている.NASHの進展過程については、従来提唱されてきたtwo-hit理論には異・論もあるが、インスリン抵抗性や脂質異常症に伴う脂肪肝形成と酸化ストレスや自然免疫系自律神経系などの応答を介した炎症・線維化・癌化のプロセスに分けて考えると理解し易い代謝系負荷に伴う肝実質細胞の初期変化は酸化ストレス応答ミトコンドリア機能異常小胞体ストレスプロテアソーム系やオートファジーなどの細胞内蛋白分解系の変化アボトーシスなど多岐に渡るまたt鉄過剰状態が酸化ストレスの増強因子として注Nされており鉄代謝関連分子の解析が進められている.一方NASHの病態形成にはアルコール性肝障害と同様に腸内細菌由来のエンドトキシンなどによる肝内自然免疫系の賦活が重要な役割を果たしており最近ではKupffer細胞に加えてNKT細胞やNK細胞などの関与も明らかにされつつある.肝線維化の進展には肝星細胞活性化に伴うマトリックス産生が中心的役割を演じているが脂肪細胞が産生する種々のアディポカインが炎症および線維化の調節因子であることが示唆されている。NASHからの発癌メカニズムについては脂肪性肝炎を自然発症する複数の遺伝子改変マウスの系で肝発癌が認められており.酸化ストレスや腫瘍免疫の変化などが検討されている.これらのポイントを中心にCQに沿ってNAFLD・NASH病態理解の現況について解説する.
索引用語