セッション情報 パネルディスカッション3

日本消化器病学会診療ガイドライン(NASH・NAFLD)を目指して

タイトル

PD3-12 NASH/NAFLDの予後・合併症に関するminireview

演者 徳重克年(東京女子医科大学消化器内科)
共同演者 松下典子(東京女子医科大学消化器内科), 橋本悦子(東京女子医科大学消化器内科)
抄録 脂肪肝は近年増加しており検診受診者成人男性の30-40%に認めら大きな問題となってきている.非アルコール性脂肪肝障害(NAFLD)の約10%が進行性病態である非アルコール脂肪肝炎(NASH)とされるその予後・合併症に関してこのパネルディスカッションでmini reViewする.1.NASH/NAFLDの自然経過1海外からのNAFLD/NASHのコホート研究が報告されているがNASHと診断された群では一般人口}こ比し長期生存率は低下し、心血管関連死および肝関連死が増加した一方単純性脂肪肝と診断された群では一般人口と生:存率に有意差を認めなかった.2.NASHの進行;海外からのNASHの組織学的経時変化では3-14年で30-40%に線維化が進行した.また進行に寄与する因子は肥満・糖尿病・年齢(高齢)とされた。また7-21年の経過で5%一8%に肝硬変への進展が認められた.3.発癌;NAFLDI全体からの肝細胞癌(HCC)発癌率はO、043%/年で高齢糖尿病合併AST高値血小板低下がHCCのrisk factorであった.またNASH肝硬変の5年発癌率は当院データでは11.3%であり海外からの報告でも5年で約10-15%とほぼ同様でC型肝炎ウイルスによる肝硬変より低率ではあるが発癌が認められた.4:NASHを基盤としたHCC;本邦のNASHを基盤とした87例のHCCを解析ではその多くは肥満・糖尿病・高血圧など生活習慣病を合併し女性例では線維化の進行例が男性例に比し多かった.予後に関しては当院データではC型肝炎を基盤にしたHCCと比較し生存率・再発率に有意差を認めなかったなお予後・進行に関わるバイオーマーカー少量飲酒や糖尿病治療内容の進行・発癌におよぼす影響など.まだ多くの問題が残されている.これらを含めて.本パネルディスカッションでさらなる検討を行う予定である.
索引用語