セッション情報 パネルディスカッション4

日本消化器病学会診療ガイドライン(機能性消化管障害)を目指して

タイトル

PD4-6 H. pylori陽性健診受診者のディスペプシア症状の長期経過と胃粘膜萎縮との関連

演者
共同演者
抄録 【目的】ディスペプシア症状とH. pyloriとの関連に関する報告は種々あるがいまだ一・faの見解は得られていない.われわれはE pylori ue性職域健診受診者を除菌治療を施行した群と非除菌群とに分けディスペプシア症状の5年間の長期経過と胃粘膜萎縮との関連を検討した.【方法】尿素呼気試験でH. pyiori陽性で上部消化管内視鏡検査または上部消化管造影検査で慢性胃炎以外の粗大病変を認めない職域健診受診者で何らかのディスペプシア症状を有する134名を対象とした。H. pylori除菌治療を受け尿素呼気試験で除菌が確認された除菌群90名(平均年齢41歳)と除菌治療を施行せず経過観察を行った非除菌群44名(平均年齢40歳)について上腹部痛胸やけげっぷ悪心嘔吐上腹部膨満感食欲不振の7つのディスペプシァ症状を除菌治療(または経過観察)前と5年後に聴取し4殺階でスコア化した.治療前の血清ペプシノゲン(PG)I/II比.により高度萎縮群:PGI/H比≦3軽度萎縮群:3〈PG 1/ll:比の2群に分類しそれぞれの群での5年後の症状の変化を検討した.臓績1除菌群の検討では軽度萎縮群で除菌治療前と比較し5年後で上腹部痛胸焼けげっぷ嘔吐上腹部膨満感の5つの症状が有意に改善しt悪心t食欲不振も改善傾向を示した.また高度萎縮群では食欲不振のみが有意に改善し悪心は改善傾向を示した.一方非除菌群の検討では軽度萎縮群で上腹部痛上腹部膨満感の有意な改善を認め高度萎縮群で胸焼け上腹部膨満感の有意な改善を認めた.軽度萎縮群では除菌により多くの症状は改善する一方非除菌群でも一部の症状は自然経過で改善を認めた.【結論】H. pylori ee性健診受診者のディスペプシア症状の長期経過は除菌治療の有無により異なるだけでなく除菌群においては胃粘膜萎縮の程度により除菌の長期効果が異なる可能性が示唆された.
索引用語