抄録 |
便潜血検査あるいはsigmoidosopyによる大腸がん検診は大腸がんの罹患率を低下させるエビデンスが確立しており大腸ポリープの切除がその後の浸潤癌のリスクを低下させることから発見ポリープ切除による効果と考えられる.便潜血検査では陽性者の約40%にポリープが発見され検診は大腸ポリープ診断につながる機会であることは確かであるが大腸がん検診の目的はその死亡リスクの低下であり臨床診断とは異なり大腸がんや大腸ポリープの診断ではない.具体的にはがん検診は健常者を対象にスクリーニング検査を繰り返して行うプログラムであり臨床診断(患者の診断が目的で1回の検査による)とはエンドポイント(死亡率vs.浸潤癌など)も感度の定義(プログラム感度:健常者集団で測定vs.スクリーン感度:患者集団の測定で可)も全く異なる.このような違いに対する理解を共有しなければ診療ガイドラインの中に検診を正しく位置づけることはできないだろう.診療における正しい指針を提示するというガイドラインの目的のために検診の臨床診断との相違を整理しながら検診のエピデンスやClinical Questionに関連する知見及び今後必要な研究について言及する. |