セッション情報 パネルディスカッション5

日本消化器病学会診療ガイドライン(大腸ポリープ)を目指して

タイトル

PD5-7 遺伝性大腸癌

演者 渡邉聡明(帝京大学外科)
共同演者
抄録 遺伝性大腸癌では家族性大腸腺腫症(Farnilia1 Adenomatous Poly-posis:FAP)とリンチ症候群(遺伝性非ポリポーシス大腸弼:Heredi-tary Non-poSyposis Colorectal Cancer:HNPCC)が重要な疾患である両疾患ともに常染色体優性遺伝形式で大腸癌を発生する.両疾患で大きく異なるのはリンチ症候群では多発性腺腫(ポリポーシス)を認めないのに対してFAPでは大腸にポリポーシスが認められる点であるFAPでは放置すると100%近くに大腸癌が発生するため確実な治療法として大腸癌が発生する前に大腸切除(予防的大腸切除)が行われる.予防的大腸切除術には1)大腸全摘・回腸人工肛門造設術2)大腸全摘・回腸嚢肛門(管)吻合術3)結腸全摘・回腸直腸吻合術など幾つかの術式が存在し現在では大腸全摘・回腸嚢一肛:門(管)吻合術が標準術式と考えられ施行される割合も多いしかし.術式は患者の年齢大腸癌の有無腺腫密度術後のデスモイド腫瘍発生のリスク患者の生活の状況術式の特徴などを総合的に考慮し.患者の十分な理解と同意を得たうえで決定することが重要である.腸間膜内にデスモイド腫瘍をすでに認める場合には大腸全摘・回腸嚢肛門(管)吻合術は推奨されない.また腺腫の密度も術式を決定する上で重要な因子である.腺腫密度によりFAPは密生型FAP(腺腫が正常粘膜を覆うほど発生)非密生型FAP(腺腫が正常粘膜を覆わず腺腫数がおよそ100個以上)attenuated FAP(腺腫数が通常お.よそ10個以上100個未満)に分類されるが術式を決定する際に重要なのは直腸ポリープである.直腸にポリープが少ない場合は標準的な大腸全摘.・回腸嚢一肛門(管)吻合術以外に結腸全摘・回腸直腸吻合術も選択肢となる.
索引用語