セッション情報 パネルディスカッション5

日本消化器病学会診療ガイドライン(大腸ポリープ)を目指して

タイトル

PD5-9 大腸SM癌の取扱い

演者 味岡洋一(新潟大学大学院医歯学系分子・診断病理学分野)
共同演者
抄録 大腸pSM癌にはリンパ節転移リスクがあるため治療の原則はリンパ節郭清を伴う腸切除である.しかしpSM癌の中にはリンパ節転移リスクが極めて希な病変も存在する.こうした病変に対する外科的治療は結果的には過剰治療となる可能性が高い.他方内視鏡的治療技術の進歩と普及に伴い内視鏡的切除pSM癌の頻度が増加している.内視鏡的切除pSM癌が内視鏡切除で根治か期待できるのか追加腸切除が必要とされるのかの治療方針の標準化が必要である.大腸癌治療ガイドライン(20092010年版)では内視鏡的摘除後のpSM癌の治療方針が示されている.これは大腸癌研究会プロジェクト研究からえられたエビデンスを元にしている.同ガイドラインでは内視鏡的切除pSM癌を1ン郭清を伴う腸切除2)経過観察群3)郭清を伴う腸切除考慮の3群に分け1)は垂直断端陽性2)は1.垂直断端陰性2.乳頭腺癌または管状腺癌3.SM浸潤度1000μm未満4.脈管侵襲陰性5籏出Grade 1の全てを満たすもの.3)は1.垂直断端陰性で2~5のいずれか一つでも満たさないものとしている.同ガイドラインの意義はpSM癌の中でリンパ節転移リスクが極めて低い群を抽出しそれを「経過観察」(内視鏡的治療で根治が期待される)群として明示したことにある.一方で「郭清を伴う腸切除を考慮する」群の具体的なリンパ節転移リスクについて提示されていない.追加腸切除の適応にあたっては同ガイドラインでは個々の症例の身体的・社会的背景患者自身の意志などを十分に考慮すると記されているが患者自身の意志決定のための資料としても「経過観察」基準からはずれる病変のリンパ節転移リスクの層別化を行うことが今後の課題である
索引用語