セッション情報 パネルディスカッション6

未分化型早期胃癌に対する内視鏡的切除の限界

タイトル

PD6-9 組織分類に基づく未分化型早期胃癌の検討:sigに対するESD適応拡大の可能性について

演者 和田郁雄(東京大学胃食道外科)
共同演者 清水伸幸(東京大学胃食道外科), 瀬戸泰之(東京大学胃食道外科)
抄録 【はじめに】日本胃癌学会による胃癌治療ガイドライン第3版において未分化型早期胃癌治療におけるESDの適応拡大の対象は深達度M・UL(一)・2cm以下・脈管侵襲なしとされている未分化型胃癌はPORSIG等に細分化されるが組織分類.に基づく治療方針は示されていない今回我々は外科切除例を用いて組織分類に基づく未分化型早期胃癌の適応拡大の可能性について検討した.【対象と方法】2003年一〇8年に当科にてリンパ節郭清を伴う胃切除術を施行された早期胃癌のうち組織学的に未分化型を含む287例を対象とした.(特殊型が優位な例は除外した.)これらのリンパ節転移および脈管侵襲の有無について.臨床病理学的に検討した.1結果】対象のうち1M癌127例SM癌160例であった.M癌で大きさが7cmをこえる例は8例であったがいずれもSIGの成分を含み5例はSIGの成分が優位(8cm以上の3例では全例)であった.SIGの成分のみの癌は26例であったがM癌22例に対しSM癌4例と少なく早期の段階ではSIGは比較的SM浸潤しにくいと考えられた.さらにSIGの成分の優位性で2群(SIG群と対照群)に分類したところM癌ではSIG群50例にリンパ節転移脈管侵襲を認めなかった。SM癌においてはSIG群でリンパ節転移(0/26 vs 24/134)Iy(2/26 vs 45/134)が有意に少なかったがv(8/26 vs 47/134)では有意差を認めなかった.しかしSM1に翻るとSIG群ではv因子を含めリンパ節転移脈管侵襲を認めなかった.【結語】外科切除例の検討により未分化型早期胃癌の中でSIGはSM1までの段階では脈管浸潤に乏しいことが示された.少なくともpure signet ring ceil carcinomaのM癌に対してはESDの適応をさらに拡大できる可能性があると考える.
索引用語