セッション情報 ワークショップ1

栄養代謝制御における消化管生理活性ペプチドの役割

タイトル

W1-5 DPP-IV選択阻害剤および成分栄養剤の消化管における可能性

演者
共同演者
抄録 【目的】腸管内栄養素は腸管内分泌細胞よりinsulinotropic effectを有するglucagon-like peptide 1(GLP-1)およびintestinotropic effectを有するGLP-2の分泌を促進する. GLP-1はdipeptidyl peptidase-IV(DPP-IV)によって速やかに不活化されることからその阻害剤は2型糖尿病の治療に用いられている.しかし内因性GLP-2と消化管への影響については不明な点が多い.そこで我々はDPP-IV選択阻害剤が粘膜内DPP活性およびGLPs濃度に与える影響および成分栄養剤との併用療法の消化管粘膜障害への効果を検討した.【方法】BALB/cマウスの腸粘膜におけるDPP farn・ilyの発現をreal time PCR法で活性を蛍光法で定量的に検討した.次にDPP-IV選択阻害剤(sitagliptin O.3-3.Omg/kg)を初回経口投与し粘膜内DPP活性およびGLPs濃度に与える影響について検討した.消化管粘膜障害はSDラットにインドメタシンを8mg/kg/dayを2日間皮下投与し作成した.実験群はインドメタシン初回投与2日後から成分栄養剤を自由摂食させた群成分栄養剤にDPP-IV阻害剤を併用した群disease con・trol群の3群を作成し7日後の潰蕩治癒および粘膜内GLPs濃度についてそれぞれ比較検討した.【結果】DPP-IV発現および活性は小腸で高く阻害剤投与により粘膜内活性が有意に抑制され粘膜内GLP-1(7-36>濃度の有意な上昇を認めたが大腸粘膜内はいずれも変化を認めなかった.粘膜障害については成分栄養剤にDPP-IV阻害剤を併用した群で有意に粘膜治癒を促進し、回腸粘膜内GLP-2濃度の上昇が認められた.【結論】DPP-IV選択阻害剤は小腸粘膜内DPP活性を有意に抑制し粘膜内活性型GLP-1濃度を有意に上昇させた.栄養療法と併用することにより回腸粘膜障害をターゲットとした治療に有用である可能性が示唆された。
索引用語