セッション情報 ワークショップ2

大腸憩室の諸問題と解決法

タイトル

W2-4 大腸憩室出血の出血様式からみた内視鏡的治療法の検討

演者 松本恵子(広島市立広島市民病院内科)
共同演者 大江啓常(広島市立広島市民病院内科), 水野元夫(広島市立広島市民病院内科)
抄録 【背景と目的】我々はこれまで大腸憩室出血の出血部位同定に早期の造影CT検査が有用であり大腸憩室出血に対し内視鏡治療を行うことで有意に再出血率を低下させられること(日消誌2011:108:223-230)また非活動胃出血ではクリップにより良好な止血効果が得られるh「.活動性出血では再四二率が高くより有効な止血法が必要であること(日消誌2011in press)を報告してきた.今回我々は大腸憩室出血に対する内視鏡的結紮術の有用性を明らかにするため出血様式別の内視鏡治療成績について検討したので報告する.【対象と方法】対象は2004年12月から2011年9月の問に当院で下部消化管内視鏡検査にて出血部位を同定し内視鏡的治療を行った大腸憩室出血126例.出血様式は憩室開口部からの活動胃出血を認めたものをType1憩室内に露出血管やびらんを認めた非活動性出血をType2と定義した.止血方法はクリップ法結紮法のいずれかを行い.出血様式別に再出血率を比較した.各出血様式におけるクリップ法結紮法の割合に有意差はなかった.【結果】Typel症例ではType2症例と比較して内視鏡治療後の再出血率が有意に高かった(31.4%vs12%p=O.OO55).出血様式ごとに止血方法の治療成績を検討するとType1症例では結紮法がクリップ法に比べて有意に再出血率が低かった(118%vs4L2%p=O.033)Type2症例では結紮法とクリップ法で再出血に有意差を認めなかった(6.3%vs13.6%p=0.68).穿孔や膿瘍形成などの重篤な合併症は認めなかった【結論】Type1症例はType2症例に比較して有意に内視鏡的治療後の再出血率が高率であるが結紮術を選択する事で止血率の向上が期待できる.Type2症例に関してはクリップ法.結紮法いずれも良好な治療成績が得られた.大腸憩室出血は出血様式を評価することで合理的な治療法の選択が可能である.
索引用語