セッション情報 ワークショップ2

大腸憩室の諸問題と解決法

タイトル

W2-6 内臓脂肪と憩室炎の関連についての検討

演者 山田英司(横浜市立大学付属病院消化器内科)
共同演者 酒井英嗣(横浜市立大学付属病院消化器内科), 中島淳(横浜市立大学付属病院消化器内科)
抄録 【目的1近年食生活の欧米化に伴い大腸憩炎とくに左側憩室炎が増加している左側憩室炎は右側と比べ開腹手術となった場合その治療成績は不良であることが報告されているそのため左側憩室炎のリスク因子を明らかにし発症予防を行うことが重要である.海外からの報告で生活習慣特に肥満と憩室炎の関連を示唆する論文は多い.本研究では肥満関連因子と右側および左側憩室炎の相関解析を行い左側憩室炎のリスク因子を検討した.【方法】横浜市立大学附属病院およびその協力病院で大腸憩室炎と診断された109名(男:69例女:40例 平均年齢49.74±15.96)を対象とし右側憩室炎および左側憩室炎に分けて比較検討を行った【結果1それぞれの発症頻度は右側憩室炎(n=8076%)左側憩室炎(n=2524%)であった.右側および左側憩室炎でそれぞれ男女比年齢総コレステロール中性脂肪BMI内臓脂肪面積〈VFA>皮下脂肪面積くSFA>腹囲について検:討を行ったところ年齢(47.0±14LgvsssJ±16.5p=O.0021)VFA (86.4±49.6vs112.9±56.7p=O.0271)に有意差を認めた.【考察】右側憩室が優位である本邦において左側憩室炎と内臓脂肪の関連を検:討した解析は初めてである.今回の検討で加齢と内臓脂肪が左側憩室炎の関連因子である可能性が示唆された.元来本邦で.は右側憩室が有意であり右側憩室は先天的な要因を含む可能性がある.逆に左側憩室の形成には内臓脂肪型肥満や加齢性変化などの後天的因子との関連が強いと思われる.このことがt部位別にみた憩室炎の発症リスクとの関係している可能性がある.本検討により左側憩室は右側憩室と異なり生活習慣病の側面を持つことが示唆された.従って左側憩室炎の予防に生活習慣の改善というこれまでにない新しいアプローチの可能性を強く示唆するものである.
索引用語