セッション情報 |
パネルディスカッション25(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)
H. pylori 除菌後長期経過による内視鏡像の変化
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タイトル |
内PD25-6:H. pylori除菌後10年以上の長期観察例における萎縮粘膜の回復過程についての検討
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演者 |
石垣 沙織(北海道大・消化器内科) |
共同演者 |
小野 尚子(北海道大病院・光学医療診療部), 加藤 元嗣(北海道大病院・光学医療診療部) |
抄録 |
【背景】Helicobacter pylori(H.pylori)除菌による二次癌の出現抑制が大規模無作為化比較試験において証明され,日本ヘリコバクター学会ではすべてのH.pylori感染に対して除菌を勧めている.しかしながら,除菌療法後にはある程度の胃粘膜萎縮は回復するものの,重度の萎縮や腸上皮化生は回復しないとする報告が多く,除菌後の胃粘膜回復については議論の多いところである.今回我々は,除菌後の胃粘膜を見直すなかで,萎縮領域にに回復粘膜が島状に存在する症例に着目し,除菌後の萎縮粘膜の回復過程について検討した.【方法】2011年1月から2011年12月に当科で上部消化管内視鏡検査を施行した症例のうち,除菌後10年以上経過観察されている74症例について,診療記録,内視鏡所見を見直し,除菌前後の萎縮パターン(木村竹本分類)と体部小彎側のregular arrangement of collecting venues(RAC)の有無について確認し,拡大観察,生検が施行された症例ではその所見も検討した.【結果】男性60例,女性14例,平均年齢65歳で,平均観察期間は13.4年であった.除菌対象疾患は胃潰瘍33例,十二指腸潰瘍21例,早期胃癌5例,MALTリンパ腫5例であった.体部小彎側のRACの回復について内視鏡的に全面で回復がみられる症例をA群,萎縮粘膜とRACを有する粘膜が混在している症例をB群,体部小彎側にRACが認識できない症例をC群に分類するとA群が25例,B群が18例,C群が29例,不明2例となった.A群では除菌前の萎縮パターンがCloseタイプの症例が多いのに対し,B群ではOpenタイプの軽度の症例,C群ではOpenタイプの重度の症例が多くみられた.生検組織による検討では、B群について萎縮が残存する部位ではRACを認識できる部位より,萎縮・腸上皮化生が強い傾向にあった.【結論】H. pylori除菌による萎縮粘膜の回復には症例によって差があり,回復粘膜がまだらに混在する症例が少なからず存在する.萎縮回復には除菌前の萎縮や腸上皮化生が関与している可能性が示唆された. |
索引用語 |
胃, H. pylori |