セッション情報 ワークショップ3

大腸鋸歯状病変の診断癌化ポテンシャルをめぐって 基調講演

タイトル

W3-1 大腸鋸歯状病変の発育進展

演者 藤井隆広(藤井隆広クリニック)
共同演者
抄録 【背景】1997年我々はHP⇒Serrated adenoma⇒Villous Tumor(VT)への発育進展仮説を報告している.近年大腸癌の発育進展においてSerrated-neoplastic pathwayが注目されておりSessile serrated ade-noma/polyp(SSA/P)を介した発育進展についての遺伝子解析を含めた多くの報告がある.しかしながらSSA/PとLarge hyperplastic polyp(:LHP)との異同やSSA/Pとは特徴を異にするTraditional serratedadenoma(TSA)の発育進展についての報告は少ない.【目的】TSAとVT(検討1)ならびにLHPとSSA/P(検討2)の関連性から大腸鋸歯状病変の発育進展を考察する.【方法】検討1:2003年7月~2011年8月までに内視鏡切除を行い病理組織学的に確認されたTubulovillous adenoma(TVA)197病変TSA61病変tubular adenoma(TA)6670病変を対象に臨床病理学的検討を行った.検討2;2003年7月~2010年12月までに内視鏡切除された10mm以上の鋸歯状病変196例220病変をWHOの病理診断基準に基づきH:PSSA/Pの見直し診断を行った.【結果】検討1;平均腫瘍径はTVA122mm>TSA9.5mm>TA5.8mmの順に大きく高度異型腺腫の頻度もTVA 26.4%>TSA 8.2%>TA 1.2%とTAに比べvillous com-pomnentを含む病変群にmalignant potentia1が高い傾向を認めた.組織形態と肉眼形態においてはTAは表面型が65%Villous componentを有する病変は隆起型が多い結果であった.組織形態と占居部位ではTVAとTSAでは直腸~S状結腸にTAは四半結腸に過半数を認めた.検討2::LH[P195病変中HPは77病変(39.4%)SSA/Pは118病変(60.5%)であった.占居部位別にはSSA/1)は右半結腸に84%を占めていたのに対しHPは四半結腸に61%と多く直腸は3%と少ない結果であった【結語】絨毛状構造を有するTVAとTSAは肉眼形態占居部位悪性頻度大きさなどにおいて類似しており直腸~S状結腸のHPはTSAから絨毛腫瘍への発育進展が考えられた. SSA/PはTSAとは異なる発育進展が考えられ右半結腸のHP由来が考えられた.
索引用語