セッション情報 ワークショップ4

肝再生医療への展望

タイトル

W4-2 自己骨髄幹細胞を用いた外科的肝再生療法の試み

演者
共同演者
抄録 【目的1近年骨髄内には肝細胞へと分化する細胞の存在が知られておりマウスを用いた骨髄移植モデルで肝硬変が改善することが示されている臨床においても自己骨髄細胞投与により末期肝疾患患者の肝機能が改善することが報告されており重症肝障害時の肝再生には骨髄由来細胞が重要である。臨床において肝癌の基礎疾患はほとんどが障害肝を合併しており肝癌術後の肝再生遅延が術後肝不全となり不幸な転帰をとる場合が少なくない。今回我々はマウス肝切除モデルにおける自己骨髄細胞投与による肝再生促進効果を検討した.1方法1C57BL/6(B6)マウスをバックグラウンドとするFGFP一トランスジェニックマウス(雄)より全骨髄細胞1×los個を採取した. B6マウスに約70%肝切除を行い同時に骨髄間葉系幹細胞の門脈投与を行った(門脈内投与群)骨髄移植後軍切除マウスでの経時的な切除後再生肝の病理組織学的検査(GFP陽性細胞の存在を免疫・蛍光二重免疫染色およびDNA合成指標である照一67染色)およびサイトカインmRNA発現検討を行った.対象群は門脈内生食投与(コントロール群)および幹細胞を尾静脈よりの投与(末梢静脈投与群)とした.【結果】術後3および5日目の再生肝重量は門脈内投与群が他の2群と比較し有意に重量増加を示した.術後3日目には肝細胞Ki-671abeling indexおよびmitotic indexが門脈内投与群で有意に高値を示した.再生肝におけるinterleu㎞一6(IL-6)mRNAおよびhepatocyte growth factor(HGF)mRNA発現は門脈内投与群で有意に高値を示したまた血清IL-6HGF値は門脈内投与群で有意に高値を示した.さらに骨髄由来GFP陽性細胞の残存再生肝組織への分布を確認した.【考察】マウス肝部分切除モデルにおいて骨髄間葉系幹細胞の門脈投与による残存肝再生促進効果を確認した.幹細胞門脈投与による肝再生に関する報告はいまだ少なくヒト臨床においても肝癌切除時に門脈より自己骨髄細胞を投与する臨床研究を考案中である.
索引用語