セッション情報 ワークショップ4

肝再生医療への展望

タイトル

W4-4 胚性幹細胞から肝細胞への分化誘導における細胞外基質の役割

演者
共同演者
抄録 ES細胞は無限の自己複製能を持ち体のあらゆる組織細胞へと分化する能力を持っている.このため試験管内で正常な発生分化過程を再現することは発生分化のメカニズムを研究するための有用なモデルになるということだけでなく再生医療や創薬研究への応用にも期待されている.これまでに中胚葉由来の培養細胞株であるM15細胞を支持細胞とした共培養系は初期内胚葉とそれに引き続く肝細胞への分化誘導を効率よく行える事を報告した(Shiraki e飽ムStem CeHs2008;Shiraki et al.GenesCell$2CO8).これらの知見を利用して支持細胞を用いずに擬似基底膜(synthes珍ed Basement MembranesBM)を利用した膵臓ならびに肝臓分化誘導系の開発にも成功している(Higuchi et alJ Cell Sct eO10:Sllirakiet al.PLoS One2011).今後の再生医療国画研究への応用にはさらなる成熟肝細胞の分化誘導方法の改良が必要である今回異種動物由来の成分を用いた時に閥題となるロット聞のバラツキや未知の因子を排除できる分化誘導法を確立したので報告する.本分化誘導方法では完全な人工合成基質であるナノファイバーを用いたこのナノファイバー上での細胞培養は3次元培養に類似したin vivo環境を再現し初代培養細胞の機能を維持させる目的で使用されている.さらに使用した分化誘導培地にはウシ血清成分を用いない組成とした.本分化誘導法で分化させた肝細胞はアルブミン産生能を有しICG取り込み能やtグリコーゲン貯蔵能を示すPAS染色陽性であった.主な実験はマウスES細胞を用いて行ったがヒトips細胞も同様にアルブミン産生肝細胞へと分化することができる。今後ヒトES細胞やiPS細胞を中心としてさらなる改善が必要ではあるが本分化誘導法は再生医療や貼薬研究への応用が期待される.
索引用語