セッション情報 ワークショップ4

肝再生医療への展望

タイトル

W4-5 肝NK・NKT細胞による肝再生機転調節機構の解析

演者 細谷聡子(順天堂大学消化器内科)
共同演者 池嶋健一(順天堂大学消化器内科), 渡辺純夫(順天堂大学消化器内科)
抄録 【目的】肝再生の調節には自然免疫系の関与が示唆されているが.肝NKおよびNKT細胞の機能的役割については未だ不明の点が多い.そこで今回私たちはNKとNKT細胞の双方を特異的抗体で枯渇させたマウスにおける70%肝部分切除後の肝再生機転の変化について検討した.【方法】12週齢の雄性WT(C57Bi/6)およびCDId-KOマウスに70%肝部分切除を行い経時的に肝組織を採取した.一部のマウスにはNKI.1抗体(150μg/bOdyip⊃ないしasialoGM1抗体(200μg/bodyi.p.)を肝部分切除24時間前に投与しNK:・NKT細胞の双方ないしNK細胞のみを枯渇させたt肝細胞核へのBrdU摂取とPCNA発現を免疫染色でCy・clinD1発現とStat3リン酸化をWestern blot法で検討した.またTNFα』一6HGFおよびsocs3 mRNAをリアルタイムRT-PCR法で測定した【結果】NK1.1抗体の前投与によりNK ・ NKT ma胞の双方を枯渇させたWTマウスでは肝切除48時間後のBrdU摂取率が20.8%から1.7%へPCNA発現が30.1%から11.9%へと著明に低下しCyc㎞D1発現誘導もコントロール群の約20%にまで抑制された.肝切除1時聞後をピークとするTNFαおよび几一6 rnRNAの発現誘導がNK:U抗体前投与で有意に抑制され肝切除後のStat3リン酸化およびsocs3mRNA発現も有意に低下した.さらにNK:1.1抗体投与マウスでは肝切除後のHGF発現も有意に低山を示した.一方WTマウスへのasialoGMI抗体投与によるNK細胞枯渇条件下ないしNK:T細胞のみ枯渇を認めるCDユd-K:0では部分肝切除後の肝再生機転に異常を認めなかったがCDld-KOにasialoGM1抗体を投与してNKT細胞とNK細胞の双方を欠失させた際には部分肝切除後のBrdU摂取およびPCNA発現の有意な抑制が認められた.【繕論I NK・NKT細胞の一方のみの欠損では再生機転は保たれるが両者が同時に欠失すると肝再生が障害されることから両細胞が肝再生時のサイトカインおよび増殖因子調節系において協量的に作用して正常な肝再生機転の維持に寄与していることが示唆された.
索引用語