抄録 |
【目的】Wnt経路は様々な臓器の幹細胞の分化/増殖に関与している.Wnt5aは細胞極性あるいは運動性の制御に関与すると他臓器で報告されているが肝臓における機能は不明である.本研究ではマウス胎仔肝臓由来の肝心/前駆細胞の分化におけるWnt5aの機能に関して検討を行った.【方法】Wnt5a欠損マウスは出生直後に死亡するため胎生期肝臓について同腹の野生型マウスと比較して解析した.野生型マウス胎仔肝臓から分離した初代肝幹/前駆細胞の分化誘導培養系におけるWntsaの機能について解析した.肝前駆細胞株(HPPL)を用いた胆管形成モデルにおいてWnt5aおよびその下流分子の機能を解析した.【成績lWnt5a欠損マ.ウスの胎生肝臓ではCK:19。 HNF1β陽性細胞で構成されるprimitive bile ductal structureの数が野生型と比較して有意に増加し胆管の管腔形成が促進されていることが示された.初代肝幹/前駆細胞培養系においてはWnt5aを添加するとbranching struetureを呈する胆管細胞型コロニーの形成遅延を認めた.HPPLを用いた胆管形成モデルにおいてもWnt5aを添加すると管腔構造の数と径が有意に減少した.Wnt5a下流分子として。候補分子のうちHPPL胆管形成モデルにおいてCalmodUlin-dependent protein kinase 2(CaMK2)活性の座面のみが形成される胆管様構造の数と径を有意に増大させた.CaMK2のリン酸化は胎生一新生仔期肝臓のWnt5a発現量と相関しHPPLではWntsa刺激によりリン酸化蛋白量が増大した.【結語】Wnd5arCaMK:2経路は肝幹/前駆細胞の胆管形成に対し抑制的に機能することが示された |