抄録 |
【目的】生活習慣の欧米化などにより脂肪肝患者の割合が増加している.我々は内臓肥満が脂肪肝の発症に重要な影響を及ぼすことを報告してきた.一方飲酒は肝の脂肪化を来す重要な要因であるがこれまで脂肪肝患者からみた肥満と飲酒の影響について詳細な検討はなされていない.今回我々は健診受診者において飲酒の脂肪肝に及ぼす影響について検討したので報告する.【方法】対象は高知大学広島大学佐賀大学およびその関連施設において腹部エコーを施行した健診受診者11404人(男7294入50.0±92歳女4985人4&0±9.3歳)を特定健診の質問表を用いた飲酒の有無および量による脂肪肝合併への影響についてtその特徴と脂肪肝発生のリスクについて検討した.臓績】脂肪肝合併率は男性の飲酒者(アルコール20g以上/日)で39.5%非飲酒者で40.2%(男全体39.9%)女性の飲酒者で14.4%非飲酒者で17.8%(女全体17.4%)と男女ともに飲酒の有無による罹患率に差は認めなかった.また脂肪肝合併者のうち飲酒群と非飲酒群の比較検討では男女ともに飲酒老’の方がγ一GTPは高いもののそれ以外の血液検査および肥満度ウエスト周囲長年齢などに両軸間で有意差は認めなかった.ウエスト周囲長で調整して脂肪肝合併率を検討したところ男女ともにウエスト周囲長が増えるにしたがって脂肪肝の合併頻度は増加し飲酒者非飲酒者ともにその罹患頻度分布は全く同じパターンを示した.BMIについても全く同様の結果であった【結論】飲酒者非飲酒者ともに男性は女性よりも脂肪肝発症の頻度が高いことが明らかになったさらに男女ともに飲酒者の脂肪肝合併頻度は非飲酒者とほぼ同様の頻度であり飲酒よりも肥満や内臓脂肪蓄積の程度が脂肪肝発生により強く影響を与えていることが明らかとなった.今回の結果から飲酒はエネルギー過多としてのリスク因子であることが示唆された. |