セッション情報 ワークショップ6

IPMNの国際診療ガイドラインを巡って

タイトル

W6-9 IPMN経過観察における膵発癌リスクファクターの検討

演者 川久保和道(東京大学医学部消化器内科)
共同演者 多田稔(東京大学医学部消化器内科), 小池和彦(東京大学医学部消化器内科)
抄録 【背景・目的】IPMNは膵発癌のリスクファクターであるが. IPMNそのものの癌化および通常型膵癌の発生と2つの膵発癌が見られる.国際ガイドラインでは通常型膵癌のリスクファクターとしての記載はないが今回我々は.IPMN経過観察における膵発癌とくに通常型膵癌のリスクファクターを明らかにすることを目的とした.【対象・方法】2011年10月までに当科にてIPMNと診断された916例のうち診断時に膵癌の合併のない881例.これらの経過観察中に20例の膵癌(通常型膵癌13例IPMN浸潤癌7例)が発生した.IPMN診断時の年齢性別拡張分枝径主膵管径壁在結節の有無.拡張分枝の数糖尿病歴、喫煙歴BMI膵癌家族歴につきロジスティック回帰分析による比例ハザードモデルを用いた解析を行った.【結果】平均年齢68歳男467女414拡張分枝径中央値16mm主膵管径中央値2、5mm多発407壁貫結節あり48喫煙歴あり343.糖尿病あり242平均BMI22.3膵癌家族歴あり49観察期間中央値47カ月.膵発癌まで中央値36カ月.年率O.5%での膵発癌を認めた.膵癌全体では多変量解析で年齢が高い(ハザード比1.08)男性(2.88)多発IPMN(2.70)が有意なリスクファクターとして残った.通常型膵癌に限ると.年齢が高い(1.08).多発IPMN(3.37)拡張分枝膵管径が小さい(1.07)がIPMN浸潤癌に限ると年齢が高い(1.16)主膵管径が太い(122)が有意なリスクファクターとして残った【結語】IPMNの経過観察では年齢が高い患者は膵発癌の高リスクである.またそのなかで主膵管が太いIPMNはIPMN浸潤癌の高リスク小さい分枝膵管の拡張が多発しているIPMNは通常型膵癌の高リスクであるIPMNの膵発癌形式には2種類ありそれぞれリスクファクターが異なっており両方の膵発癌に注意しながら経過観察する必要がある.
索引用語