セッション情報 ワークショップ7

PPIをめぐる最近の展開

タイトル

W7-4 GERD診療におけるPPIの役割と問題点

演者 小池智幸(東北大学消化器内科)
共同演者 中川健一郎(東北大学消化器内科), 下瀬川徹(東北大学消化器内科)
抄録 【目的】(1)PPIを第一選択薬として使用するGERD診療ガイドラインのフu一チャートに則って治療を行った際の治療効果を明らかにすること。(2)PPI維持療法時におけるGERD症状のコントロールについて明らかにすること.【方法】(1)連続207例のGERD患者に対してGERD診療ガイドラインフローチャートに則って検査・治療を行った.PPIは初期治療としてラベプラゾール(RPZ)10mg/日を投与し症状が改善しない場合にRPZ20mg/日投与に増量した症状評価.にはFSSGを用い8点以上をGERDと診断した.また.RPZ内服後はFSSGが8点未満もしくは50%以上低下したものを症状改善と定義し判定した.(2)PPIにて維持療法中のGERD患者連続135例に対してGERDQ問診票にて治療効果を判定した.【成績(1)RPZ1〔㎞g/日投与による初期治療で71.2%(内視鏡優先二69.8%治療優先80.0%〉の症状改善率が得られた.治療前内視鏡検査施行例で浮びらん性GERD(NERD)が52.1%.に認められたRPZIOmg/日投与によるNERDの症状改善率は61.7%とびらん性GERDの773%に比較して症状が改善しにくい傾向を示した初期治療で効果不十分例においてはRPZ20mg/日投与によりFSSGは有意に低下し症状改善率は60.0%を示した.また長期管理においては維持療法76.2%オンデマンド療法12.7%薬剤の漸減または中止が11.1%で選択されていた.(2)GERDQにて23、7%が治療効果不十分と判定され週1回以上の胸やけを訴える患者は41%で認められた治療効果不十分と関連のある因子は「年齢40歳未満」「倍量以上のPPI投与」及び「服薬頻度が毎日以外」であった.【結論】PPIを第一選択薬とするGERD診療ガイドラインに沿って診断・治療を行なうことによって比較的良好な治療効果が得られることが日常診療において確かめられたがPPI維持療法中でも治療効果不十分な症例が比較的多く存在することが明らかとなった.
索引用語