セッション情報 ワークショップ8

消化器癌の免疫学的解析と治療

タイトル

W8-1 肝細胞癌におけるNK活性化レセプターリガンドの発現機構の解析

演者
共同演者
抄録 【目的】肝癌におけるNK細胞感受性は活性化レセプター(NKG2D)と抑制性レセプターのシグナルのバランスにより規定されている.肝癌はNK:G2DのリガンドMICA(MHC class 1-related chain gene A)を高発現しているがこれらは細胞膜上で切断され血清申に可溶型MICAとして放出されNKG2D発現低下を介したNK活性の低下を惹起する.我々は肝癌組織におけるMICAの切断機序及びその発現修飾機構を解明することを目的として研究を行った.【方法】Huh7細胞からMICAをクローニングし発現ベクターを作成した. MICAADAM(adisintegrin and metanoprote血ases)の発現をFACSウエスタンプロットRT-PCRにて検討した.可溶型MICAはELISAにて測定しNK活性についてはクロムリリースアッセイ法を用いた.【成績】肝癌細胞株では43kDaのMICAが細胞外領域で36 kDaに切断された.MICAの切断はαセクレターゼ活性の阻害により低下しその活性を有するproteaseのノックダウン実験によりADAM9とADAM10がMICA切断に必須であることが示された.肝癌細胞株を各種の抗癌剤で処理することによりADAM9及びADAM10の発現低下を介したMICAの瞬断が阻害されNK感受性が尤進ずることを明らかにした.さらには肝癌症例においても同様の動態が認められ抗癌剤による治療介入にてNK活性を増強していることが明らかにされた.またMICAの発現及びその切断は肝組織からの数種のサイトカインにより制御されており生体における肝発癌との関連が示唆された.【結謝肝癌におけるM工CAの発現および切断機構を解明した.抗癌剤によるADAMファミリー制御を介した新たな肝癌治療戦略が示唆された.
索引用語