セッション情報 ワークショップ8

消化器癌の免疫学的解析と治療

タイトル

W8-2 消化器癌に対するIL-4とCpGとの併用による免疫療法の抗腫瘍効果と作用機序

演者 梶原敦(昭和大学消化器内科)
共同演者 広石和正(昭和大学消化器内科), 井廻道夫(昭和大学消化器内科)
抄録 【目的】癌に対する免疫療法の臨床効果はまだ十分とは言うことができず新規治療法の開発が望まれる.癌患者は免疫力が低下しておりさらに消化器癌は低免疫原性であることが多い.強力に免疫を誘導する目的でマウス低免疫原性大腸癌(MC38)に対して共に抗腫瘍効果を発揮することが知られている几一4とCpGとを併用した免疫治療を試みその抗腫瘍効果と作用機序を検討した.【方法】樹状細胞とIL-4遺伝子導入MC38細胞(MC38-IL4)とCpGとをinvitroで混合培養し樹状細胞の成熟化やナイーブ脾細胞のサイトカイン産生能に与える影響を検討した.MC38の野生株(MC38-WT)を予め接種し腫瘤を形成したマウスにMCZ8-IL4とCpGとを治療目的に皮下注射し野生株腫瘤を経時的に計測した.この治療の抗二割効果の作用機序を検討するため治療した野生株腫瘤の免疫組織染色を行い免疫細胞の腫瘍内浸潤を観察したMC38一几4とCpGとで免疫したマウスの脾細胞をin vitroでMC38-IL4とCpGにより2回再刺激した後51Cr-release法で腫瘍特異的細胞傷害活性を測定した.【結果】MC38-IL4とCpGとの混合培養で樹状細胞ではMHC分子や共刺激分子の発現が著明に増強した.ナイーブ脾細胞ではIFN一γ産生が増加し工L-10産生は低下した.野生株腫瘤を形成したマウスにMC38-IL4とCpGを治療目的に皮下注射したところMC38一几4単独治療群と比べて有意に強い腫瘍の縮小効果が得られた(p;0.015).またこれらで治療した野生株腫瘤にはM-4単独治療群やCpG単独治療群と比較しCD8陽性細胞が有意に多く浸潤していることを確認したさらにMC38-IL4とCpGで免疫したマウスの脾細胞にはMC38特異的細胞傷害活性が認められた【考察・結語】M-4とCpG併用療法には強い腫瘍縮小作用が認められ細胞性免疫を強く刺激し腫瘍特異的細胞傷害活性を誘導することが確認された.今後臨床応用が期待できると考えられた.
索引用語