抄録 |
【目的】胃発癌には個体差がありtHelicobacter pylori感染発癌物質曝露および塩分摂取など外的要因とともに腫瘍免疫など宿主要因が病態成立に関与しているラットモデルも同様でN-methy卜N’一nitro-N-nitr〔>soguanidine(MNNG)投与後の胃発癌はACIラットではBuffaloラットに比して高率である.この個体差は単一遺伝子によるものでありt発癌感受性は常染色体劣性遺伝で子孫に伝えられる.そこでこれらラットモデルを用いて胃発癌に関与する宿主要因として腫瘍免疫特に樹状細胞の役割に注目して解析しこれを標的とした治療法を検:解した.【方法】6週齢の雄性ACIラット(n=40)およびBuffaloラット(n=40)を0ないし100mg/しのMNNG含有水を自由飲水させて飼育し2週間後に屠殺して胃粘膜のRNAを抽出遺伝子発現を網羅的に解析した胃粘膜に浸潤した樹状細胞は免疫染色で同定し各種細胞マーカーの発現をRT-PCRで半定量した.また025%レバミピドを食餌に含有する群も追加して同様の検討を行った.(成績】BuffaloラットではMNNG群でMHC class lI associ-ated invariant chainの発現が5.3倍上昇しておりこれはACIラットに比して高度であった.樹状細胞数およびその細胞マーカーに発現はACIラットではMNNG投与群は対照の2倍であったのに対してBuffalo群で10倍以上の高度な誘導が認められた.またレバミピド投与でも1.2-1.5倍の樹状細胞の誘導が惹起された.【結語】ラット系統間での発癌感受性の差異は発癌物質投与時の樹状細胞の浸潤特にこれら細胞におけるMHCclass II associated invariant chainの発現の程度によって規定される可能性があるまたこの増強はレバミヒド投与でも誘導されるため同薬は腫瘍免疫を介した胃発癌の予防にも有用と推定された. |