セッション情報 ワークショップ8

消化器癌の免疫学的解析と治療

タイトル

W8-5 末梢血サイトカイン産生能および制御性T細胞解析による細胞移入療法の効果予測に関する検討

演者
共同演者
抄録 1背景】抗腫瘍免疫においてIFNγ等のTh1サイトカインの重要性が認識されておりまた末梢血制御性T細胞(Treg)数は癌患者の予後との関連が報告されている.今回、膵癌患者において末梢血サイトカイン産生能およびTreg数を細胞移入療法前後で評価しこれらの免疫学的指標と予後との関連について検討したII方法1関連施設にて免疫細胞療法を施行した46例の進行・再発膵癌患者を対象とした.免疫細胞療法は従来のCD3-LAK療法25例ナイーブT細胞リッチTリンパ球移入療法21例でいずれも2週間隔で経静脈的に投与した.細胞療法施行前と4回施行後に末梢血を採取しサイトカイン産生能(H2皿AH.5ll10几12几13GM-CSFIFN箏TNFα)は全血をPHAで48時間刺激後遠心して上清をmUltiple array system Oこより測定し末梢血TregはFCMにて評価した.治療前の臨床背景および治療介入前後のこれら検査値の変動と予後との関連を検討した.【結果】治療前の末梢血サイトカイン産生能および末梢血Treg/CD4比は生命予後との.関連を認めなかった.細胞療法後に末梢血IFNy産生能は6割の症例で上昇し上昇した症例は低下した症例よ’りも予後が良好であった.治療前の臨床背景因子(年齢.性tPS治療下等).も加えた多変量解析では末梢血IFNγ産生能の治療前後の変化は独立した予後関連因子であった(HIR 3.04;95%CI 1ρ8「8.54;p=0035)【結語】細胞移入療法後の末梢血IFNY産生能の変化は治療効果のサロゲートマーカーとなる可能性が示唆された.生体内では腫瘍細胞の崩壊によりall-tigen spreading等の免疫応答拡大がおこり多様な免疫反応が惹起されていると考えられるため特定抗原に対する免疫機能検査のみでは治療後に誘導される多様な抗腫瘍免疫応答を正確には評価できないと考えられる.末梢血IFNγ産生能評価は非特異的免疫機能検査であるが多様な免疫応答を反映していると考えられ免疫療法における有用な効果予測法の1つとなる可能性がある.
索引用語