抄録 |
1目的】:ペリサイト(以下PC)は血管内皮細胞の外側に位置して血管を構築し挙揚血管の進展・形成に重要な役割を演じている.腫瘍血管PCを標的とした新たながん免疫療法のメカニズムを基礎研究により解明し消化管間質腫蕩(GIST)給療への応用の可能性:につき検討を行った.【方法IBALB/cマウス皮下に形成されたCMS-4腫瘍内にIL-12遺伝子を導入した樹状細胞(dendriticcen以下DC)を局注し抗腫瘍効果を観察した.誘導されたCD8+細胞傷害性T細胞(CTL)の認識する抗原の同定は腫瘍組織から抽出したMHC class I結合性ペプチドをHPLCで分画後質量解析により免疫マウス上来CTLが反応するペプチドの由来蛋白を決定した.腫瘍組織における腫瘍血管の観察は免疫組織化学によった.【結果】H一12遺伝子導入DCの腫瘍内局注により腫瘍の発育は完全に抑制された免疫マウス由来CTLはhemoglobin一β(HBB)を構成するペプチドを認識しHBB 33-42ペプチドをパルスしたDCのvaccinationは数種の腫瘍に抗腫瘍効果を示した.しかし腫瘍細胞はHBBを発現せず腫瘍血管PCにその発現が認められた.抗腫瘍効果を示した免疫マウスの腫瘍組織では腫瘍血管の著明な減少とCD8+T細胞の浸潤が認められたが副作用としての貧血や脳目などの血管障害は見られなかった.ヒトGISTをHBB抗体を用いた免疫組織化学で検討すると高頻度にHBB陽性PCが認められたが大腸癌組織ではPCのHBB発親は低率であった.【結論】腫瘍血管PCに異所性に発現するHBBに対するCTL反応により腫瘍血管傷害と抗腫瘍効果が認められHBBペプチドワクチンのPCを標的としたがんワクチンとしての有効性が示された.またヒトGISTのPCには高頻度にHBBの発現が見られHBBペプチドワクチンが同疾患に対する新規治療法となる可能惟が示唆された. |