セッション情報 ワークショップ8

消化器癌の免疫学的解析と治療

タイトル

W8-10 胃癌胃潰瘍慢性委縮性胃炎十二指腸潰瘍患者におけるTLR24遺伝子多型の検討

演者
共同演者
抄録 【目的】消化管粘膜に局在するTLR(Toll一・like receptor)はさまざまな病原体の構成成分を認識し自然免疫応答を誘導するが抗原提示細胞であるマクロファージや樹状細胞にもTLRは発現しておりヒト免疫機構においてきわめて重要な働きをしている.ヒト胃粘膜にはTLR2459が発現しているがH.pylori感染についてはTLR2と4の関与が報告されている.本研究はH.pylori感染に関連する上部消化管疾患である胃癌胃潰瘍慢性萎縮性胃炎十二指腸潰瘍患者におけるTLR24遺伝子多型検索を行いTその臨床的意義を検討することを目的とした.【対象】2007年7月から2010年7月までに当院を受診し本研究に対し書面にて同意が得られ上部消化管内視鏡検査および病理組織学的検査にて診断された胃癌患者100例(男性79例平均年齢72.3歳)胃潰瘍患者105例(男性71例平均年齢66.3歳)慢性萎縮性胃炎患者102例(男性41例平均年齢69.6歳)t十二指腸患者72例(男性51例平均年齢59.0歳)を対象とした.尚本研究は当院臨床研究審査委員会の承認を得て試行された.【方法】患者血液サンプルからDNAを抽出し. TLR2遺伝子の7SNPsとTLR4の6SNPsの合計13のSNPsについてTaq Man 5’一exonucle-ase assayを用いてgenotypingを行いその頻度を各疾患群間で比較した.【結果】胃癌群におけるTLR2.(rs3804099)とTLR4(rs1927911)のminorallele frequencyは十二指腸潰瘍群に比し明らかに低頻度であったが(p<O.05)胃潰瘍群や慢性萎縮性胃炎群とは有意差を認めなかった.その他のSNPsに関しては各群問で差を認めなかった.現在H.pylori感染(血清H.py・lori IgG抗体法)の有無およびペプシノーゲン法を用いた胃粘膜萎縮との関連についてもサブ解析中である.【結語]TLR2(rs3804099)とTLR4(rs1927911)のminor alleleは胃癌発症の抑制的因子である可能性が示唆された.
索引用語