セッション情報 ワークショップ8

消化器癌の免疫学的解析と治療

タイトル

W8-11 肝細胞癌患者における宿主免疫監視機構からみたソラフェニブの有用性

演者 永井英成(東邦大学医療センター大森病院消化器内科)
共同演者 五十嵐良典(東邦大学医療センター大森病院消化器内科), 住野泰清(東邦大学医療センター大森病院消化器内科)
抄録 【背景】Thl細胞は宿主免疫における抗腫瘍免疫を高めTh2細胞は低下させると言われているが癌細胞は宿主の免疫監視機構から回避していることも言われている.我々はC型肝硬変(LC)症例の発癌における宿主免疫を検討し発癌によってTh2細胞優位な宿主免疫の状態になることを報告しているが(Cancer Chemother Pharmacol 2008:62:401-406)進行肝細胞癌(aHCC)治療における分子標的薬であるソラフェニブ(SF)の宿主免疫に対する有用性に関しては検討の余地が残されている。【目的】aHCC合併LC症例に対するSF投与の宿主免疫学的変動を明らかにする.【対象】2009年6月から2011年7月までにSFを投与したaHCC合併LC患者44症例を対象とした.【方法】対象症例はSF200~800mg/body/dayを4週間服用した.採血は早朝空腹時に投与前と4週間後に行った.末梢血中CD4陽性Tリンパ球中サイトカイン分析を行いIFN一’y Wa性IL-4陰性(Th1)、 IFN-Y陰性1レ4陽性(Th2)CD25陽性CD127陰性(Treg)に分画した.【成績】200mg内服群は11例(脱落1例)400mg内服群は26例(脱落2例)800mg内服群は7例.肝障害度はそれぞれChild-Pugh dass Aが8255例でBが312例.背景肝はそれぞれHBVがL42例HCVが817、1例nonBnonCが254例.腫瘍進行度はそれぞれIVAが9247例でIVBが220例. Vp3以上の門脈浸潤合併症例はそれぞれ172例.免疫学的検討においてTh1細胞では各国で有意な変動を認めなかった.Th2細胞とTreg細胞では200mg群は有意な変動を認めなかったが400mg群および800mg群は治療前後で有意な低下を認めた.【結語】aHCC合併LC症例に対するSF投与は400mg以上の内服でTh2細胞およびTreg細胞の低下を来たし相対的なTh1細胞優位な宿主免疫の状態を引き起こしHCCにおける宿主免疫の監視機構からの回避を抑え込む可能性が示唆された.
索引用語