セッション情報 ワークショップ8

消化器癌の免疫学的解析と治療

タイトル

W8-12 大規模前向きコホート研究を用いた大腸癌における腫瘍浸潤T細胞と分子生物学的異常・予後との関係

演者 能正勝彦(札幌医科大学内科学第一講座)
共同演者 山本博幸(札幌医科大学内科学第一講座), 篠村恭久(札幌医科大学内科学第一講座)
抄録 【目的】宿主免疫応答である腫瘍浸潤T細胞は大腸癌において良好な予後との相関があると報告されている.しかしながらそれらは分子生物学的異常特にmicrosatellite instability(MSI)と有意な相関を認めることが報告されているためどちらの影響によって予後が規定されるかは明らかにされていない.壁皿我々は大規模前向きコホート研究を用いてt大腸癌症例における腫瘍浸潤T細胞と分子生物学的異常・予後との関係を検討した.【方法】対象は外科的に切除されたstage l-IVの大腸癌768症例. Ariol image analysis systemを用いて腫瘍浸潤T細胞の密度(CD3+CD8+CD45RO+FOXP3+)を測定.またそれらの密度と臨床病理学的因子MSIGIMPLINE-1のメチル化レベル遺伝子変異(KRASBRAFPIK3CA)1の相関や予後との関係も検討した【成績】単変量解析ではCD8+CD45日置+FOXP3+の高密度はいずれも良好な予後と相関(Ptrend〈O.OO7)したが臨床病理学的・分子生物学的因子腫蕩浸潤T細胞(CD3+CD8+CD45RO+FOXP3+)を変数とした多変量解析ではCD45RO+が唯一長期生存との有意な相関(P=0.0032)を認めた腫瘍浸潤T細胞であったまたCD45RO+の高密度はMSI-high(P<0.0001)とLINE-1周頃チル化レベル(P=0.0013)とも正の相関を認めたしかしながらCD45RO+の高密度はMSI-highとLINE-1のメチル化レベルと関係なく良好な予後に有意に相関していた.【結論lCD45RO+T細胞は独立した大腸癌の予後規定因子であり今回検討した腫瘍浸潤T細胞リンパ球の中で最も重要な働きをし良好な予後に関与していること.またMsl-highとLINE-1のメチル化レベルはcD45Ro+の独立した予測因子であることも明らかになった.これらの結果よりCD45RO+T細胞を標的にした免疫療法は新たな大腸癌の治療になる可能性が示唆された.
索引用語