セッション情報 ワークショップ9

小腸生理機能の基礎医学的解明

タイトル

W9-4 ラットNSAID小腸傷害におけるautophagyの関与

演者 楢林賢(大阪医科大学第2内科)
共同演者 依田有紀子(大阪医科大学第2内科), 樋口和秀(大阪医科大学第2内科)
抄録 【目的】近年小腸検索が可能となりNSA皿)による小腸粘膜傷害が注目されているがそのメカニズムは依然不明な点が多い.我々はラットインドメタシン(IM)起因性小腸傷害モデルを用いて超微形態学的検討でautophagyの関与を示唆する所見を見出した。そこで本粘膜傷害におけるautophagyの関与についての検討を行った.【方法】In vivo:SD系雄性ラット(7週齢 250~300g)を用いてIM 10mg/kgを昏絶食下に経口投与し経時的に小腸を摘出し潰瘍周囲をHE染色で検討を行なった.そして細胞死の形態については透過型電顕で観察した.特にautophagyについてはautophagyのマーカーであるLC3とlysosomeの酵素であるcathep。sinの免疫染色を行った. In vitro:ラット小腸上皮細胞株(IEC6)を用いた. IMO.2mMをmediumに添加し3624時間後に蛍光免疫染色およびWestern blot(WB)でしC3の検出を行いautophagyの関与について検:蓋した.【結果】In vivo:肉眼的にはIM投与後3時間から潰瘍形成を認めており経時的に粘膜損傷面積の増大が見られた.HE染色では投与後3時間から潰瘍周囲の粘膜上皮細胞で空胞が多数認められた.電顕観察において上皮細胞内にautophagosomeの集積が認められコントロールと比較して有意に増加していた.またコントロールと比較して有意にLC3およびcathepsin陽性細胞の増加が認められたがLC3とcathep・sinの二重蛍光免疫染色ではしC3とcathepsin陽性な空胞すなわちautolysosomeは少数しか認められなかった.In vitroの系においてもIM投与をするとLC3陽性のdotは経時的に増加しWBにてもLC3-Hが増加しautophagosQmeの形成が確認された。【結論】NSAID投与による潰瘍周囲の小腸粘膜上皮細胞にLC3陽性で電顕的にautophagesomeが多数認められたがautolysosomeは少数であった.以上のことからNSAID起因性小腸粘膜傷害における細胞死の原因としてlysosorneの機能障害によりautophagosomeからautolysosomeへの成熟が障害されautophagosomeが蓄積する事が一因であると考えられた.
索引用語