セッション情報 ワークショップ9

小腸生理機能の基礎医学的解明

タイトル

W9-5 腸管上皮オートファジー誘導を介した新しい宿主―プロバイオティクス相互作用の解明

演者 稲場勇平(旭川医科大学内科学講座消化器・血液腫瘍制御内科学分野)
共同演者 藤谷幹浩(旭川医科大学内科学講座消化器・血液腫瘍制御内科学分野), 高後裕(旭川医科大学内科学講座消化器・血液腫瘍制御内科学分野)
抄録 【背景】プロバイオティクスは様々な外的ストレスや病原微生物に対して腸管保護作用を有することが知られているがその作用メカニズムについては不明な点が多い.我々は。細胞内の蛋白分解システムのひとつであるオートファジー誘導を介した新しい宿主一プロバイオティクス相互作用メカニズムを同定したので報告する.【方法】ヒト大腸癌細胞株(Caco2)およびラット小腸細胞株(IEC18)にビフィズス菌(BB)の培養上清を投与し1.オートファゴソームの構成分子LC3の発現誘導についてウェスタンプロットにて検討した.2.オートファジー誘導の上流シグナルと考えられる各種MAPKの活性化についてウェスタンプロットにて検討し阻害剤を用いてLC3誘導能の変化を調べた.3.siRNA-Atg7の遺伝子導入によりオートファジー抑制モデルを作成しBB培養上清による腸管保護作用の変化についてCr-release assayを用い検討した.4各種カラムによる分画熱および酵素処理によってBBの培養上清を分析しオートファジーの誘導活性を持つ分子の探索的検討を行った.【結果】1.BB培養上清は投与2時間後より経時的かつ用量依存的にLC3発現を誘導した2.同様の処理により投与30分後にp38 MAPKErkJNK誘導が認められた.p38の阻害剤およびJNKの阻害剤によりBB培養上清によるLC3発現の誘導が阻害された.3. SiRNA-Atg7導入細胞ではBB培養i上清による腸管保護作用の低下を認めた4.BB培養上清内のオートファジー誘導活性物質は分子量3kDa以下熱耐性であり蛋白分解酵素により失活した.【結謝プロバイオティクスや腸内細菌による腸管保護作用の明しいメカニズムとして腸管上皮p38MAPKおよびJNK活性化一オートファジー誘導を介した生体機構の存在が示唆された.またビフィズス菌由来のオートファジー誘導活性物質は分子量3kDa以下熱耐性のペプチドであると考えられた.
索引用語