抄録 |
【目的】胆汁酸は小腸内の脂肪滴を乳化して脂肪酸やモノグリセリドを含んだ混合ミセルを形成し消化・吸収に役立っている一方GPR40は中押~長鎖脂肪酸の受容体であり.膵β細胞に発現するほか上部小腸の消化管内分泌細胞に発現し脂肪摂食によるcholecystokinin(CCK)分泌を担うと考えられている. in Vivoにおいて胆汁酸は血中CCKの分泌を獅制すると報告されているがそのメカニズムについて詳細な検討はされていない.今回我々はGPR40の脂肪酸センシングに胆汁酸が及ぼす影響を解析した1方法】マウスのGPR40をPCI2細胞に遺伝子導入した安定発現系(PC12-mGPR40細胞)を作成しfura-2を用いて細胞内Ca2t濃度([Ca2’]、)を測定した.ラウリン酸(C12脂肪酸)とコール酸(胆汁酸)が[Ca2‘]iに及ぼす影響をコントロール(PCI2-WT細胞)と比較した.【結果】C12(500μM>のみを投与した場合にはPC12-mGPR40細胞PC12-WT細胞ともに数分毎に反復する一過性の[Ca2’]i上昇が見られた. C12とコール酸(30μM)を同時投与するとPC12-WT細胞では反復する一過性の〔Ca2‘]}上昇のみが見られ[Ca2+]、上昇の周波数はO.001(Hz)未満の細胞が92.7%を占めていた. PC12-mGPR40細胞ではCa2’ oscillation(約1分周期)が起こり10分以上持続した.また[Ca2‘]i上昇の周波数はα001{Hz)未満の細胞が14.7%0.001以上O.Ol(Hz)未満の細胞が51.8パーセント0.01(Hz)以上の細胞が34.2パーセントを占めていた.Ca2’ osci皿atienの発生中にproteinkinase A阻害剤のH89(30μM)を投与するとCa24 oscillationは消失したが一過性の[Ca2’]i上昇.は残存した. PCI2-mGPR40細胞にCI2とdibutyryl cAMPぐ500μM)を同時投与するとCa2” oscMationが見られた.【結論】GPR40発現細胞においてC12脂肪酸は反復する[Ca2’]上昇を引き起こし。胆汁酸との同時投与は[Ca2’]i上昇の周波数を高めてCa2’ osci皿ationを引き起こす.胆汁酸は細胞内cAMPの上昇を介してGPR40による脂肪酸センシングを修飾する |