セッション情報 ワークショップ9

小腸生理機能の基礎医学的解明

タイトル

W9-8 腸管上皮細胞におけるTGF-β1の役割とそのシグナル伝達経路の検討

演者 山田由美(秋田大学第一内科学講座)
共同演者 眞嶋浩聡(秋田大学第一内科学講座), 大西洋英(秋田大学第一内科学講座)
抄録 【目的】Transforming growth factor一βi(TGF一β1)は様々な機能を司る成長因子であり消化管にも発現し腸粘膜の治癒過程において重要な役割を担っているが未だに不明な点も多いTGF一βスーパーファミリーの一員であるアクチビンAは腸管上皮の陰窩t絨毛の分化方向の決定に関与していると考えられている今回我々は腸管上皮細胞におけるTGF一βの役割とシグナル伝達経路について検討した.【方法】ラット腸管上皮細胞株IEC-6細胞を用いて以下の検討を行った.1. TGF一β、の産生(ELISA)2.Smad蛋白の発現及び局在(ウエスタンプロット免疫細胞染色)3。細胞増殖に及ぼす影響(BrdUの取り込み)4..分化に及ぼす影響(腸管上皮の分化マーカーであるApOA-IVs ACSL5のRT-PCR)5遊走能(スクラッチアッセイ)16.シグナル伝達経路(アデノウイルス発現ベクターを用いた検討).【結果】IEC-6細胞はTGF一βを自身で産生し機能的なシグナル伝達経路を有.していることからTGF一β:のオートタリン作用を有すると考えられた.TGF一β1は濃度依存性にEC-6細胞の増殖を抑制し陰窩から絨毛方向への分化を誘導し遊走能を充進させた.EC一一61細胞をDominant-negative Smad2/3を発現するアデノウイルスに感染させSmad2/3経路を遮断するとTGF“による増殖抑制分化誘導遊走能の充進は消失した加えてSmad3を発現するアデノウイルス(AdS皿ad3)またはSmad2を発現するアデノウイルス(AdSmad2)を感染させるとAdSmad3感染のみで増殖抑制効果が再現されたことから増殖抑制はSmad3経路を介していることが証明された.現在分化誘導遊走能のシグナル経路について検討している.【結論】TGFゴβ1はSmad依存性経路により腸管上皮細胞の増殖分化遊走を制御していると考えられる.
索引用語