セッション情報 ワークショップ9

小腸生理機能の基礎医学的解明

タイトル

W9-9 クローン病におけるパイエル板観察の臨床的意義

演者 松島加代子(長崎大学消化器内科)
共同演者 磯本一(長崎大学消化器内科), 中尾一彦(長崎大学消化器内科)
抄録 【緒言1終末回腸にはバイエル板(P板)が多く存在するがそのドーム領域にはM細胞が分布して抗原の免疫情報を樹状細胞に伝達している.クローン病(CD)におけるドーム領域の異常を形態学的組織学的に検討することは腸管免疫を考える上で重要な手がかりとなり.うるが内視鏡での詳細な観察や疾患との関連性についてはほとんど報告がない.1対象と方法】研究11活動期のCD患者 15例に対して通常倍率下でP板の基本形態を分類した(藤倉らの分類).つぎに拡大内視鏡観察を行いP板のドーム領域表面構造を観察した.またP板領域内の特異的病変や微細病変の有無を検討した.狙撃生検を行って走査電顕による超微細形態の観察と類上皮細胞肉芽種の有’無を確認した.さらに9例に対し超拡大内視鏡観察を行いドーム領域の微細変化を観察した、研究2:ベーチェット病8例潰瘍性大腸炎(UC)25例正常9例で同様に観察を行いP板形態変化や生検の病理組織学的検討を行った.1結果】研究1:CD患者のうち2例のみがしF型(結節・穎粒状)で10例は平坦なLA型であり年令(平均29周置の割にLF型の頻度が少なかった.8例でP板内に小潰瘍やびらんが観察された.拡大・超拡大内視鏡観察では走査電顕像と同様にドーム領域の凹凸疎で不規則な絨毛が確認され走査電顕像ではさらにM細胞表面の不整が確認された.狙撃生検により高率(67%)にP邸内に肉芽腫を確認できた.とくに生検組織を用いたGP2染色ではtドーム領域の絨毛の萎縮M細胞の露出が目立っていた.研究2:ベーチェット病7例(87%)UC7例(28%)でもP下川に微小な病変はみられたがCDのようなドーム領域形態変化は伴わなかった.【結論】クローン病.においてはP板形態の異常が確認されバリア機能の破綻が推察されたP板特にドーム領域の詳細な観察は腸管免疫を知る上で有用と思われ今後更に検討を進めたい.
索引用語