セッション情報 ワークショップ10

IgG4関連肝胆膵疾患の診断と治療―非典型例へのアプローチ

タイトル

W10-4 限局性腫瘤を形成した自己免疫性膵炎におけるEUS所見の検討

演者 鎌田研(近畿大学医学部消化器内科)
共同演者 北野雅之(近畿大学医学部消化器内科), 工藤正俊(近畿大学医学部消化器内科)
抄録 【背景】自己免疫性膵炎(AIP)においてTびまん性膵腫大や主膵管狭激闘などの画像所見を呈さないものは膵腫瘍との鑑別が困難であることも少なくない.【目的】腫瘤像を呈したAIPの臨床的特徴をEUS(造影法を含む)を中心として評価する.1対象】2007年5月~2010年11月目聞に臨床診断基準2006にて診断され膵腫瘍との鑑別を要したAIPI2例.【方法11. B-mode EUS所見(a:腫瘤内点状エコーb:線状エコーc:綱状エコーt d:duct penetrating sign)2.造影ハーモニックEUS所見(isovascularな染影)3.ステロイド反応性4血清IgG4陽性の陽性率を検討しそれぞれのAIP診断・治療における重要性を検討した【結果】血液検査陽性(lgG or IgG40r抗核抗体陽性)は10例(83%)組織診断が可能であったのは4例(33%)であった治療法として9例にステロイド投与が行われ1例は膵癌を否定できず手術が施行された2例は経過観察にて自然軽出した.12症例にお.ける1~2の陽性率は1a、75%(9/12)1b.12%(5/12)1c.67%(8/12)1d33%(4/12)2.75%(9/12)3. 100%(9/9)4.75%(9/12)であった.全例la~ldのいずれかの所見を認めていた1~4の3項目以上陽性を必要条件としても全症例がAIPと診断された.外科酌切除が施行された1例は造影ハーモニックEUSでisovascularな染影パターンを呈していた.ステロイド治療後にEUSが施行された5例においてt腫瘤内の線状あるいは網状エコーの消失を認めたが点状エコーの消失は認めなかった1例に腫瘤の消失を認めた.【結語】本邦の診断基準では腫瘤像を呈し血液検査陰性である症例の診断に難渋するAIP診断においてEUSによる腫瘤内高エコー像やisovascUlarな染影パターンはIgG4陽性と同等の感度を呈していた.腫瘤内の線状および網状エコーはAIPの活動期の所見であると同時にステロイド治療によって消失する可能性が示唆された今後EUS所見やステロイド反応性を加味したAIP診断の妥当牲を検証する必要がある.
索引用語