セッション情報 ワークショップ10

IgG4関連肝胆膵疾患の診断と治療―非典型例へのアプローチ

タイトル

W10-6 膵病変を合併しないIgG4関連硬化性胆管炎の臨床的特徴

演者 渡邉貴之(信州大学消化器内科)
共同演者 村木崇(信州大学消化器内科), 浜野英明(信州大学消化器内科)
抄録 【目的】IgG4関連硬化性胆管炎(lgG4-SC)は胆管系に広範に分布し膵外胆管病変は原発性硬化性胆管炎や胆管癌との鑑別に苦慮する.多くは自己免疫性膵炎(AIP)を合併するが合併しない場合には診断ならびにこれらとの鑑別はさらに困難となる.今回膵病変を伴わないIgG4-SCを正確に診断するために有用な臨床的特徴を検討した.【対象・方法】対象はIgG4関連疾患113例(男性88例女性25例平均年齢65歳)である.主病変の内訳はAIP 92例ミクリッツ病15例IgG4-SC 6例である.各所見を膵病変の有無で比較しtまた肝門部胆管癌(HC)型IgG4-SCと肝門部胆管癌(HC)の画像所見を比較検討した【結果】11)膵病変を伴わないIgG4-SCを8例認めいずれも膵内胆管病変を認めなかった.2例は胆管癌疑いの手術後に診断され1例はIgG4-SC診断6年前に手術不能膵癌と診断されていた.2)膵病変を伴わないIgG4-SC 8例(A群)を膵病変を伴い膵外胆管病変を認めるIgG4-SC 13例(B群)と比較検討した.男女比に有意差はなく平均年齢はA群72歳B群64歳とA群で高い傾向にあった.血液所見ではA群で免疫複合体が高い傾向にあったがその他の血清学的マーカーに有意な変動は認めなかった膵胆管以外の合併病変には有意差を認めなかった.3)膵病変を伴わないHC型IgG4-SC 5例(C群)とHC 14例の胆管像を比較検討した. ERCによる両三の鑑別は困難であったがIDUSではHC群で狭窄部の外側高エコーの不整・断裂を有童に多く認めまたC群では非狭窄部における胆管壁が肥厚している傾向にあった【結論】膵病変を伴わないIgG4-SCと膵病変を伴うIgG4-SCの臨床像に有意な差は認めなかった.膵病変を伴わないHC型IgG4-SCとHCとの鑑別にはIDUSが有用である可能性が示唆された.
索引用語