セッション情報 ワークショップ10

IgG4関連肝胆膵疾患の診断と治療―非典型例へのアプローチ

タイトル

W10-9 自己免疫性膵炎におけるステロイドパルス療法の有用性

演者 富山尚(関西医科大学内科学第三講座)
共同演者 内田一茂(関西医科大学内科学第三講座), 岡崎和一(関西医科大学内科学第三講座)
抄録 【目的】自己免疫性膵炎(AIP)は血清IgG4高値、局所での19G4陽性細胞の浸潤.ステuイド有効性を特徴とし通常経堂ブレドニゾロン30-40mg/日で開始される.また新しい国際診断基準にもステロイド反応性が含まれている画像的にステロイド不応性の場合は悪性腫瘍の可能性を考慮し経ロステロイドの中止が必要となるが中止後の副腎機能不全のリスクが問題となるしかし経ロステロイドとそれに替わる初期治療の比較研究は今までなされていなかった.ステロイドパルス療法は様々な自己免疫疾患などで比較的幅広く施行されておりt高用量のステロイドであっても投与期聞が1週以内であれば比較的安全とされる.そこで我々はAIPに対する初期治療としてステロイドミニパルス療法(メチルプレドニゾロン500mg〆日3日間投与4日間休薬を2回)の短期的な効果について比較研究した.【方法】当院でAIPと診断した60症例のうちステロイドミニパルス療法を施行した15例(男性9例 女性6例 平均年齢65歳)を対象とし治療2週後の検査画像所見を検討した.【結果】治療2週直後採血所見ではALT値およびγ一GTP値は治療前と比較して有意な改善がみられた.画像所見では膵臓腫大の変化は治療前に比べて約70%に縮小し解析し得た7症例のFDG-PETにおけるstandardized uptake value(maxSUV)は治療前に比べて全例治療後に低下し7例中4例のmax SUVは正常化(maxSUV<3.0)した胆管狭細像は有意に改善がみられたが経ロステロイドでは改善しなかった胆管狭窄がステロイドミニパルス療法により改善した症例が1例みられた.また腫瘤形成性膵炎による胆管狭窄に対し総胆管空腸吻合術を施行されていたが術後5年目吻合部狭窄をきたした症例に対しミニパルス療法を施行したところ狭窄部の解除がえられた.なおミニパルス療法施行による明らかな有害事象は認めなかった.【結論】ステロイドミニパルス療法はAIP Iに対する有効で安全な初期治療と考えるが.今後更なる症例の蓄積が必要である.
索引用語