セッション情報 ミニシンポジウム1

腸上皮化生をめぐる諸問題

タイトル

MSY1-2 Helicobacter pylori感染においてNOD1はホメオボックス遺伝子Cdx2の制御を介して腸上皮化生進展を抑制する

演者 浅野直喜(東北大学消化器内科)
共同演者 今谷晃(東北大学消化器内科), 下瀬川徹(東北大学消化器内科)
抄録 【目的1胃粘膜上皮細胞に存在するNucleotide-binding Oligomerization Domain1(NODl)はHelicobacter pylori(H.pylori)感染の際.胃の粘膜免疫において重要な働きをすることが報告されているi一方H.pylori感染により前癌病変である胃の腸上皮化生が生じることが知られているがその機序は解明されていない.そこで胃の腸上皮化生や二型形質の胃癌ではホメオボックス遺伝子Cdx2が発現していることに着目しH.ρylori感染後の腸上皮化生進展におけるNOD1の役割についてCdx2の発現制御という観点から検討した.【方法】胃粘.膜上皮細胞株を用いH.pylori感染がNiF-6の活性化を介してCd翼2を誘導することをin VitroでEMSAおよび阻害剤を用いた検討により確認後NOD1をsiRNAでノックダウンすることによるCdx2の発現変化をRT-PCRウェスタンプロットおよびCdx2のプロモーターアッセイにて検討した.またin vitroで得られた結果をin vivoで検証するためNODI’iとNODr’+マウスにH.pyloriを経口感染させ12ヶ月後に胃を摘出腸上皮化生の進展およびCdx2の発現を免疫組織化学により検討した.1結果1 H.pylori刺激によるNF-iC13活性化を介したCdx2誘導機構に対してNODIをノックダウンすることによりH.pylori感染によるCdx2の発現およびCdx2プロモーター活性は有意に増強した.これらの結果からH.pylori感染によるCdx2の発現に対してNODIが抑制的役割を担っていることが示唆された.さらにin vivoでの検討ではH.pylori Pt染NODrマウスの胃においてCdx2の誘導発現・腸上皮化生の進展が有意に顕著であることが確認された【結論】胃のH.pylori感染に際して自然免疫応答分子NODIはCdx2の発現を抑えることにより前癌病変である腸上皮化生進展を抑制していることが示唆された.
索引用語