セッション情報 ミニシンポジウム1

腸上皮化生をめぐる諸問題

タイトル

MSY1-5 胃癌患者で血清TFF3が高値となる機序

演者
共同演者
抄録 【目的1ヘリコバクター・ピロリ慢性感染に伴って生じる腸上皮化生は胃癌の発生母地と考えられており腸上皮化生の血清バイオマーカーがあれば胃癌リスク予測が可能となる.我々は血清Trefoil factor 3(TFF3)が胃癌iJスクマー・・カーとなりうることを報告したが胃癌症例で血清TFF3が高値となる機序は不町である.今回2つの作業仮説1>胃癌背景粘膜の腸上皮化生杯細胞にTFF3が発現しt腸上皮化生を反映して血清値が高くなるという腸上皮化生マーカー仮説2)胃癌細胞に非生理的.にTFF3が発現し血清値が高くなるという胃癌マーカー仮説について検討する.1方法】検討1:外科的切除された胃癌46例(早期癌18例進行癌28例)のTFF3免疫染色を行い胃癌および非癌背景粘膜のTFF3発現率を解祈する.検討2.:胃潰瘍167症例を対象に胃前庭部大弩・体上部大弩の生検組織における腸上皮化生スコア(シドニーシステムでスコア化)の合計と血清TFF3の相関を検討する.【結果11)早期胃癌で16/18(99%)であり高分化型癌8/10(80%)未分化型癌8〆8(100%)であったt進行癌では7/28(25%)に発現し高分化型癌1/13(7.6%).未分化型癌5/13(3騒%)混在型癌1/2(50%)であった.背景非癌粘膜では被蓋上皮細胞2/46(415%)胃底腺5/菊(13.5%)幽門腺13/46(41.9%)腸上皮化生杯細胞46/46(100%)と有意に腸上皮化生に発現していた.2)スコアの合計がO123の症例の血清TFF3(mean±SD)は7.48±2.58758±2.73760±2.496.96±1.96であり生検胃粘膜の腸上皮化生スコアと血清TFF3の相関は見られなかった.【結語ITFF3は腸上皮化生杯細胞の安定した組織マーカーである.生検粘膜の腸上皮化生スコアと血清TFF3は相関せず血清TFF3が腸上皮化生マーカーとする仮説は証明できなかった.早期胃癌の89%進行癌の25%でTFF3が発現しており癌組織で非生理的に発現したTFF3は胃内腔側へ分泌できずに血中にoverflowし血清値が高くなる可能性は否定できないと考えられた.
索引用語