抄録 |
【目的】食生活の.西洋化により急増するNAFLDINASHはメタボリック症候群を高頻度に合併しその発症・進展予防に食事療法の是正が重要である.その反面。NASHの薬物治療は未だ確立されていない.一方果物や野菜に豊富に含まれるカロチノイドの摂取はインスリン抵抗性の改善に有効とされる、しかしNAFLD/NASH:に対するカロチノイドの有効性は十分に明らかではない.今回身近な食素材に由来し体内吸収が良く抗酸化力の強いカロチノイドのうちわが国で開発されてきたβ一クリプトキサンチン(bCX)に着工しNAFLD/NASHへの有効性を動物モデルを用いて解析した.【方法】7週齢雄のC57/BL6Jマウスに1)高脂肪食(HF)により単純姓脂肪肝を2)高コレステu一ル高脂肪食(CL)によりNASHを誘導し温州ミカンより精製したbCXを用いてNAFLD/NASHの発症予防効果を険耀した.【結果】bCX投与により肝組織内bCX濃度は血申に比し7倍に増加しT消化管から吸収されたbCXは肝臓忙作用していることを確認したbCXは肝臓からのVLDL-TG分泌を低下させ.脂質負荷後の高TG血症を改善したまたbCXはHF群の高血糖・高インスりン血症及び肝TG蓄積を抑制した.一方CL群は食餌負荷8週後には高インスリン血症を呈し肝臓に脂肪化と炎症を12週後に線維化を生じインスリ1ン抵抗性を合併するNASHモデルと考えられた. bCXはCL群におけるインスリン抵抗性を減弱させ肝脂肪化を抑制したまたbCXはCL群で発現増加するF4/80CDIIcTNFaを有意に低下させ、クッパー細胞の活性化を減弱し炎症を抑制した更にCL群の肝αSMA陽性細胞数. TGFβco皿agen IのmRNA発現及びhydroxyproline含量はbCXにより有意に減少した.【結論】bCXはモデル動物において1)高脂肪食によるインスリン抵抗性と糖脂質代謝異常を改善し肝脂肪化を抑制2)炎症・線維化の誘導を創御しNASHの進展を調合する.わが国の伝統食材に多く含まれるbCXはNAFLDの発症・進展予防に有効な新たな機能性食贔として期待される. |