セッション情報 ミニシンポジウム3

好酸球性消化管障害をめぐって

タイトル

MSY3-6 マイクロアレイ解析にて食道上皮に発現している遺伝子を検討し得た好酸球性食道炎3例

演者 古田賢司(島根大学内科学講座第二)
共同演者 玉川祐司(島根大学内科学講座第二), 木下芳一(島根大学内科学講座第二)
抄録 好酸球性食道炎.は食道の上皮層申に多数の好酸球の浸潤が認められ慢性的に持続するアレ’ルギー疾患である世界的にも本疾患の報告例が増加傾向にあり現在注目されている.その原因として多種の食品や空気中の抗原がTh2系の免疫反応の抗原となっていると考えられておりIL-5IL-13とともに好酸球を食道上皮に浸潤させるeotaxin-3の発現が増加しているとされている.本疾患では食道扁平上皮の透過性の充進増殖促進粘膜下層の浮腫・線維化が見られ嚥下障害胸やけ等の症状の他食道の狭窄が生じる可能性がある.今回我々が検討した3症例は全例が嚥下障害を主訴に来院し上部消化管内視鏡検査にて食道に浅い線状溝狭窄様に見える波状の横走する粘膜のうねりなどの特徴的な内視鏡像を認めた.気管支喘息などのアレルギー疾患の既往は1症例で認められたのみであったが食道粘膜の生検組織診断では食道上皮内に強拡大で20個以上の好酸球の浸潤を認めた.症状・内視鏡所見・組織所見から3症例を好酸球性食道炎と診断したこれまでの欧米の報告から好酸球性食道炎症例で一部の遺伝子の発現が増強されたり減弱されたりすることが明らかとなっている.しかし本邦では好酸球性食道炎症例が少ないこともあって日本人の好酸球性食遭炎症例を対象として遺伝子発現を検討した報告はみられない、そこで今回我々は好酸球性食道炎の病態を明らかとする目的で食道粘膜に発現する遺伝子の変化についてマイクロアレイを用いて解析した.その結果これまでの欧米の報告通り日本人においても皿.一5IL-13Eota】dnの遺伝子の発現増強がみられfUaggrininvolucrinなどの遺伝子の発現減弱が認められることが明らかとなった.今回の検討結果を踏まえて好酸球性食道炎患者の症状と遺伝子発現の関係について考察する.
索引用語