抄録 |
1背景】胆汁酸には小腸での脂質の消化吸収を助ける作用に加え核内受容体(FXR)や細胞膜受容体(TGR5)の生理的リガンドとして脂質代謝を制御するkey moleculeとしての作用が明らかとなっている.胆汁酸はFXRを活性化し肝臓でのコレステロールからの合成を自ら抑制し.申間代謝物議キシステロールは核内受容体(LXR)のリガンドになりマウスでは胆汁酸合成を促進する.LXRの活性化は、 SREBPlc転写活性も高め脂肪酸合成を画地させる.一方FXRの活性化はSHPを介してLXR-SREBPlc系を抑制しさらにヒトでは脂肪酸異化(PPARα系)も促進させる.この胆汁酸の脂質代謝制御作用に着目しメタボリック症候群やNASHと密接に関与する脂肪肝の予防治療への可能性について検討した.【方法1脂肪肝モデルはヒト・マウス正常肝細胞にLXR合成リガンドTo901317を添加して作成した.胆汁酸(UDCA. CDCA)FXR合成リガンド(】NT747GW4064)を中性脂肪蓄積前後に添加し申性脂肪量を定量した.また脂肪酸代謝系の遺伝子発現量脂肪酸β酸化活性(アセチルカルニテン[ACT】β一ヒドロキシ酪酸[3HB])を評価した.【結果】CDCAと両FXR合成リガンドにより中性脂肪蓄積を有意に抑制しtその際SHP発現直進と脂肪酸合成酵素群(ACC-1FASSCD-1)の有意な抑制を伴っていた.またこれらFXRリガンドは.ヒト細胞に蓄積した中性腸肪を有意に減少させPPARα標的遺伝子(CPT-10d発現と培養液中ATCと3HB濃度を有意に増加させた.しかしマウス細胞ではこれら脂肪酸異化効果はみられずFXRリガンド作用の種差が観察された.【結論】胆汁酸のFXRリガンド作用による脂肪酸合成抑制と異化促進効果がヒトの細胞で確認され胆汁酸の脂肪肝の予防や治療薬としての新たな可能性が示唆された. |